2025年9月19日
〈岐路に立つ自動車税制〉自工会、ガソリン税の暫定税率廃止 車体課税への〝付け替え〟断固反対
日本自動車工業会(自工会、片山正則会長)は18日、自動車税制改正に関する要望をまとめた。従来から要望してきた(軽)自動車税の「環境性能割」廃止と保有課税の一本化に加え、揮発油税(ガソリン税)にかかる当分の間税率(暫定税率)廃止を踏まえ、代替財源として車体課税への〝付け替え〟に反対した。ただ、自民党の総裁選や連立協議をめぐる駆け引きなど政治情勢が混とんとしている。議論に費やす時間が限られそうな中、税制改正の行方は見通しにくい。
同日、都内で開いた記者会見で、片山会長は「代替財源を車体課税に求めるようなことは本末転倒。ユーザー負担増につながることは断固反対していく」と強調した。
自工会が発表した「2026年度税制改正・予算に関する要望」では、自動車税制の抜本的見直しに当たっての重点要望として「ガソリン税暫定税率廃止の代替財源について、車体課税への付け替えやユーザー負担増につながることは絶対反対」との文言を盛り込んだ。
与野党で合意しているガソリン税の暫定税率廃止については、与野党で代替財源のあり方について隔たりがあり、議論が膠着(こうちゃく)している。一部では車体課税や法人増税による付け替えが議論されていることについて、片山会長は「自動車重量税にも暫定税率は残存している。これまでの課税の経緯からも重量税の暫定税率の扱いも含めて議論がなされるのが筋だ」と指摘した。
税制要望ではまた、米国の関税政策に伴う国内生産の影響が懸念される中で「内需拡大(国内生産基盤の維持)が不可欠であり、『環境性能割』は単純廃止すべき」とした。三部敏宏副会長は「米国の関税が15%に決まったといっても影響は非常に大きい。それに伴って内需の拡大による国内の生産基盤の維持、強化は喫緊の課題だ。車体課税の簡素化、負担軽減をぜひ実現してほしい」と語った。
自動車税制をめぐっては、25年の税制改正大綱で取得時の負担軽減、課税のあり方について「26年度に結論を得る」と明記されている。自工会では短・中期的には環境性能割の廃止と保有時の「(軽)自動車税」と「自動車重量税」の一本化、長期的には自動車ユーザー以外も含めた「モビリティ受益に応じた持続的な新たな負担の仕組み」の検討を求めてきた。
ただ、衆参両院で与党が過半数割れする中、自民党総裁選や、その後の連立を含む与野党の駆け引きなどで税制改正議論が滞ったり、翻弄(ほんろう)されたりする可能性もある。片山会長は、「ハードルが上がってきている認識はある。(政局が)この先どうなるか正直まだ分からない状況だが、自民党だけでなく幅広くやっていきたい」と述べ、車体課税の簡素化と軽減に向け、野党への働きかけも強めていく考えを示した。
対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞9月19日掲載