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2025年8月25日

TICAD9、自動車業界がアフリカに熱視線 技術力や人材投資でウィン・ウィンへ

 日本の自動車関連業界がアフリカ市場に熱い視線を送る。先週開かれた第9回「アフリカ開発会議(TICAD9)」では、各社が製品やソリューションを展示したり、アフリカ各国と覚書(MOU)を結んだりした。得意とする電動化技術や人材への投資を通じ、ウィン・ウィンの関係を目指す。

 豊田通商など日本の5社は21日、セネガル共和国政府や国際協力機構(JICA)と共に、同国の産業人材育成を支援するMOUを締結した。経済成長を背景に高まる同国の産業人材ニーズに対応し、現地の国立職業訓練校「セネガル日本職業訓練センター」で日本企業の技術教育プログラムを提供する。

 署名式には、セネガルのファイ大統領や同国外務省のフォール大臣、日本政府関係者に加え、豊田通商、ヤマハ発動機、NEC、戸田建設、ダイキン工業の首脳や幹部らが出席。在セネガル日本大使も立ち会い、官民一体での協力を印象づけた。

 MOUは豊田通商が発起人となり、趣旨に賛同した4社と連携。セネガル政府が制度や運営面で支援し、日本企業はそれぞれの事業分野に応じた教育プログラムを導入する。製造業や建設、情報通信、機械整備などの分野で、最新の技術や知識を学ぶ機会を現地の若者らに提供する。

 セネガル日本職業訓練センターは1984年にJICA支援で設立され、40年以上にわたり西アフリカ地域における職業訓練の拠点として機能してきた。近年では経済成長に伴い産業構造が高度化し、より高度で多様な人材の育成が急務だ。現地で事業を展開する日本企業にとっても、優秀な人材の確保は共通の課題で、今回の協力は双方にとって意義が大きいとみる。豊田通商は「セネガルに根差した産業人材の育成を進めることで、現地経済の発展と日系企業の事業拡大に資する」と強調した。今回グループで44件のMOUなどを結んだ同社。人材育成の支援は、アフリカとのパートナーシップ強化の象徴とも言えそうだ。

 ヤマハ発は、アンゴラとも漁業に関する官民合意を締結。FRP船と船外機の導入により、小規模漁業の近代化を支援する。

 以前からグローバルサウスに力を入れ、今回も電動二輪車の中古バッテリーの二次利用に関する覚書をケニアのスタートアップと交わした武蔵精密工業。「グリーンテック」としてeモビリティに力を入れており、これらとエネルギーを組み合わせることで社会課題解決への貢献を目指す。伊作猛常務執行役員は「移動という社会課題に貢献することで経済の底上げにも寄与できる。現地で取り組みを広げる上ではパートナーが不可欠で、今回のTICADでそのネットワークづくりもできた」と手応えを話す。

 「日本の製品の高品質さで浸透したい」と話すのはJVCケンウッドの担当者。同社は車載などの通信機器を手掛けるが、高温やほこりといった環境でも堅ろうな点を売り込めるという。固定電話網よりも先に携帯が普及するといった事情もあり、警察や消防などに使われる無線端末と携帯電話を一体化する「ハイブリッド」のトレンドなどが見られるという。

武蔵精密のブースを訪れたアフリカのTICAD9参加者

対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞 8月25日掲載