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2025年8月21日

連載「インテージ 生活者インサイト 自動車販売のオンライン化を考える」(1)自動車購入時の情報収集の方法は?

 テスラやヒョンデ、BYDなど一部の輸入車メーカーは、日本で自動車のオンライン販売を開始しています。店舗を訪れずに購入できる点が特徴で、当然ながらディーラーによる装備説明や見積もり対応もなく、情報収集も基本的にはオンラインで行われます。

 このまま、日本の自動車販売はオンライン化が進むのでしょうか。それとも、依然としてディーラー販売が主流となるのでしょうか。全4回の連載を通して、オンライン化が進む中で消費者がどのように自動車を購入しようとしているのかを探っていきます。本連載では、「半年後以降に新車を購入予定」の方、約8千人を対象に実施したアンケート結果を基に考察します。

 第1回となる今回は、自動車の情報収集におけるオンラインの活用状況を見てみましょう。

 まず、自動車購入時の情報収集の方法はどのようなものを想定されているのでしょうか(図1)。「インターネットやSNSで調べる」と回答した人は88%で、40代以下では9割を超えます。ただし、「販売店で実車を確認する」と答えた人は94%にのぼり、「インターネットやSNSで調べる」を上回る結果となりました。オンラインで完結して購入車種を決めるというよりは、販売店で実車を確認することを前提に、あらかじめ候補を絞るためにインターネットが活用されているようです。

 では、インターネットやSNSによるオンラインの情報収集にはどのようなアプリが使われるのでしょうか(図2)。利用するアプリのトップはブラウザーアプリ(「サファリ」や「グーグルクローム」)で85%、2位は動画共有サービス「ユーチューブ」の55%でした。それ以外のアプリの利用率は1~2割程度にとどまります。

 ブラウザーとユーチューブの使い分けを探るため、「そのアプリを使ってどのような情報を得られると思うか」を見てみましょう(図3)。ブラウザーで得られる情報の上位は、「価格」「外装デザイン」「装備」などです。メーカーの公式サイトや個人ブログ、比較サイトなど、さまざまな情報源があり、特定車種に関する詳細情報まで網羅的に調べることが可能です。

 一方、ユーチューブにおける上位項目は「外装デザイン」「内装デザイン」「口コミ」です。ブラウザーと比較すると、「走行感」の選択率が20ポイント以上高くなっています。「走行感」が確認できるのは、動画で実際の車両や走行シーンを見られるユーチューブならではと言えるでしょう。

 今回は、インターネットでの検索行動や利用アプリの傾向を確認しました。次回は、実際にどのような検索キーワードが使用されているのかを詳しく分析します。

  (筆者=株式会社インテージ リサーチャー 重岡伶奈 www.intage.co.jp/)


図1 半年後以降の自動車購入予定者が想定している情報収集の方法


図2 インターネット・SNSでの検索予定者が使用するアプリ


図3 ブラウザー・ユーチューブのアプリで得られると思う情報

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞8月21日掲載