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自動車産業インフォメーション

2018年2月16日

個人リース市場、あいまいな広告表示や説明不足 実態把握と改善必要

個人リース市場で、トラブルの多発が懸念されている。ここ数年、急増した新規参入企業によるあいまいな広告表示や説明不足が散見されるためだ。今年からそれら企業が取り扱ったリースアップ車が増加するとみられており、業界関係者の間では、市場を守るためにも正しい広告表示と商品説明の徹底を求める声が上がっている。

個人リースは、残価を差し引いた諸費用込みの料金を月々支払うことから費用負担を平準化できることをメリットに契約台数を伸ばしている。その一方で、ボーナス月の支払額が増えることを明示せず「月々1万円」といった安さを強調したり、税別価格を表示している広告も目にする。

日本自動車リース協会連合会(JALA、東馬圭一会長)は「会員会社以外にも金額の詳細を記載するよう徹底するのは難しい」のが現状だという。法人リースに関しては税別表示が一般的なため「悪意はなく、知らずにやっている企業がほとんど」(自動車公正取引協議会関係者)。気が付いて対策を打つ前にトラブルとなるケースもある。
販売現場での説明不足も原因の一つ。リース期間満了後に原則返却義務が発生するが「最後は自分のクルマになると思っている人も多い」(公取協)。個人リースは、中古車市場の変動リスクを顧客が負うオープンエンドが大半だが、それをユーザーが理解しておらず、差額の支払いが発生した時にクレームになる。
オリジナルリース商品を販売している中古車販売店や整備専業店の中には、残価を多く設定してしまい、満了時にユーザーの負担が増えることもあるという。消費者に支払額などを明記する「割賦販売法」があるクレジット商品とは異なり、リース商品には説明内容を縛る法律がない。そのため、販売店によっては説明不足となり、契約終了時のトラブルになる。
JALAは、今年から個人リースの契約満了車が増えることを見越し、昨年から公取協との定期的な情報交換会を開始した。広告の文言の確認などを常に行い、正しい表示方法を会員会社に周知徹底している。また、個人リースに関するガイドラインの作成も検討する。「トラブルが多発すると個人リース自体のイメージの悪化につながりかねない」(公取協)。市場が成長期である今、業界全体に現状の把握と改善が求められている。

日刊自動車新聞2月16日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日本自動車リース協会連合会(JALA)

対象者 一般,自動車業界