2025年7月10日
2024年の特許登録件数上位10社、自動車関連から3社 伸長の中国勢が存在感
特許庁がまとめた「特許行政年次報告書2025年版」によると、24年の特許登録件数上位10社(国内企業)に自動車関連企業3社が入った。トヨタ自動車が2位(前年は3位)、デンソーが7位(同5位)、ホンダが8位(同7位)だった。制御や計測、電気機械といった自動車開発に関わる領域での出願が目立った。ただ、自動車関連の個社ごとの登録件数をみると、直近3年間で減少した企業もある。増加傾向の中国企業などと差が開きつつある。
24年の国内の特許総出願件数は前年比2.2%増の30万6855件と4年連続で増加した。このうち、外国人による出願比率は22.7%だった。
国内企業の特許登録件数はトヨタが3658件(前年は3555件)、デンソーが1668件(同2284件)、ホンダが1651件(同1787件)だった。国内企業の1位(同1位)はキヤノンで3897件(同3866件)だった。
一方、国外企業では、電気自動車(EV)事業に乗り出した中国・華為技術有限公司(ファーウェイ、972件)や電池事業を手掛ける韓国・エルジーエナジーソリューション(LGエナジー、962件)、メガサプライヤーの一角である独ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング(365件)などが上位を占めた。国内、国外企業とも、自動車に関連する企業の存在感が高かった。
自動車関連企業の傾向としては、「電気機械、電気装置、電気エネルギー」の分野でトヨタ、LGエナジー、パナソニックが登録上位3社を占めた。EVやバッテリーマネジメント関連も含まれると見られる。
自動車の走行技術にも関わる「制御」ではトヨタ、ホンダ、デンソー、スバル、日産自動車が上位にランクインした。
「計測」でもデンソー、トヨタ、ホンダが上位に入った。「環境技術」ではフタバ産業、トヨタ、いすゞ自動車などの登録件数が多かった。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)に繋がる技術開発に関連すると見られる。
次世代車関連で自動車関連企業の特許出願、登録が盛んな一方、個社別では件数の伸び悩みがみられた。直近3年分の登録件数を見てみると、デンソーが2919件から1668件に、マツダが630件から491件に、アステモが770件から670件に、それぞれ減少している。
特許の登録件数を伸ばしているのは中国勢だ。世界での特許総登録件数(23年)は約200万件だったが、このうち半分近い約90万件が中国居住者で、続く米国は日本と同規模の30万件程度だった。中国は自国だけでなく日本を含む他国でも出願・登録に熱心で、近年ではインドネシアやベトナム、南アフリカなどの新興国の開拓に積極的だ。一方、日本から海外への出願件数に関しては、4年連続で減少が続いている。出願先としては、米国が全体の4割近くを占め、中国が約25%、欧州が約12%だった。
今後は、EVなどの次世代車の普及がグローバルで進むことを見据えた特許戦略がより重要になりそうだ。
次世代車の特許戦略が重要に(イメージ)
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞7月10日掲載