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2025年7月3日

経産省、CO2クレジットの使用上限 最大1割の案 相場の乱高下防止 CO2削減意欲も

 経済産業省は2日、2026年春から一部企業に参加を義務付ける二酸化炭素(CO2)の「排出量取引制度」に関し、クレジット(排出権)の使用をCO2実排出量の最大1割とする案を示した。排出権相場の乱高下を防ぎ、企業のCO2削減意欲を削(そ)がないようにする。制度開始以降は、排出権相場をにらみつつ、使用上限を段階的に引き下げていく考えだ。

 排出量取引は、企業ごとに排出できるCO2量の枠を割り当て、過不足分を企業間でクレジットとして取引できる制度だ。すでに23年度から自主運用が始まっているが、26年4月からはCO2の直接排出量が年間10万㌧以上の企業に参加を義務付ける。電力や鉄鋼、化学、運輸など300~400社が対象になる見通しだ。

 排出するCO2が割り当て枠内に収まらなかった場合、他企業からクレジットを購入することで、排出量を相殺できる。ただ、クレジットの購入量に制限を設けなかった場合、排出権の取引価格を適切に維持できなかったり、企業の排出削減の意欲を薄れさせたりする恐れがある。

 このため、1社当たりのクレジットの使用の年間上限を、CO2実排出量の1割までとする。排出権取引をすでに導入している米国や韓国なども排出権の使用上限を実排出量の5~10%程度に設定している。制度の開始後は、排出権の需給を踏まえつつ、使用上限を段階的に引き下げていく。詳細を詰め、年末をめどに制度案をまとめる。

 排出量取引制度は、発電事業者への「有償オークション」と組み合わせ「GX(グリーン・トランスフォーメーション)経済移行債」の償還財源の一部として活用される見通しだ。

 償還財源にはこのほか、化石燃料を輸入する事業者にかける「化石燃料賦課金」などが見込まれるが、最終的には消費者負担になる。

日刊自動車新聞7月3日掲載