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2025年6月27日

中古車の一括査定サイト、広がる決済の第三者預託サービス 支払いトラブルの防止へ

中古車の一括査定サイトで、代金決済の安全性を高める「エスクロー(第三者預託)サービス」が広がり始めた。MOTA(モータ、佐藤大輔社長、東京都港区)が9日から導入したほか、リクルート(北村吉弘社長、東京都千代田区)などのサイト運営大手も導入を検討している。買い取り代金の支払いをめぐるトラブルの増加や、2年前の旧ビッグモーター問題で揺らいだ消費者からの信頼を取り戻す狙いがある。消費者保護につながる取り組みとして普及が期待される。

一括査定サイトは、複数の買い取り業者からの見積もりを手軽に比べられるサービスとして普及した。ただ、買い取り業者は玉石混交で、客先に居座ったり、車を引き取った後に「修復歴が見つかった」などと買取額を下げる「二重査定」などのトラブルが以前からある。

 5月には、東京や愛知などに複数の店舗を持つ「カートップ」(東京都板橋区)が大量の買い取り車を引き取った後、未払いのまま事業を停止する事件が起きた。モータのエスクローサービス導入も、この事件がきっかけという。同社が買い取り事業者の支払い金を一時的に預かり、売却希望者に書類や車両を引き渡すよう通知した上で、買い取り代金を渡す仕組みだ。

 IT関連企業のエレウノ(大橋賢治社長、同目黒区)は昨年、中古車売買の仲介サービスを始めたが、代金の収受を同社が代行する仕組みを導入し、トラブル防止を図っている。オンラインの二輪車売買サービスを運用するインターファーム(嘉数雄一代表、同渋谷区)も今月、エスクローサービスを導入した。

 大手のサイト運営事業者もエスクローサービスの導入に前向きだ。買い取り事業者やサイト運営事業者で組織する日本自動車購入協会(JPUC、井上貴之代表理事)がエスクローサービスの導入意向を会員に聞いたところ、リクルートなど複数の事業者が「前向きに検討している」と回答した。

 JPUCを中心に、買い取り業界の健全性を高めるさまざまな取り組みは以前から行われてきた。しかし、自動車に限らず、ネットオークション(競売)や買い取りをめぐる詐欺やトラブルは後を絶たない。エスクローサービスの普及が期待されるところだ。

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞6月27日掲載