2025年6月25日
国交省、道路の脱炭素化を推進 基本方針案を公表 EV走行中給電やペロブスカイト太陽電池など
国土交通省は、道路の脱炭素化推進を目的とした「道路脱炭素化基本方針案」を公表した。今後の電気自動車(EV)の普及を前提に、道路空間で発電や給電を行う取り組みを推進する。具体的にはEVの走行中給電や、次世代の太陽電池として期待されるペロブスカイト太陽電池などの新技術の現地実証を国主導で行っていく。改正道路法が施行される10月をめどに基本方針を策定し、事業者に対しても具体的な推進計画の策定を求めていく。
今年4月に改正道路法が公布され、道路における災害対策やメンテナンスなどの方針が新たに盛り込まれた。この中で環境対策では、道路管理事業者に対し、脱炭素化に向けた目標や施策などの具体的な計画立案を求めることになった。この指標となる国の基本方針案を今回、示した。
EVなど次世代車の普及を促すため、太陽光発電の導入や「道の駅」やパーキングエリアなどに充電器の設置を促していく。また、渋滞のボトルネックになっている箇所への対策も講じ、道路交通の適正化も図る。渋滞による二酸化炭素(CO2)排出量は日本の総排出量の1.3%に相当する。
脱炭素につながる新技術の活用も進める。道路から走行中のEVに電力を供給する走行中給電やペロブスカイト太陽電池、アスファルト混合物の製造温度を30度低くし、CO2排出量を7~18%削減可能な低炭素アスファルトといった新技術の実証を国が主導して行い、技術基準の策定などに生かす。
方針案では、道路の建設や利用で発生するCO2排出量で、2040年度に13年度比73%削減することを目標に掲げた。国全体の目標の「50年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)」と同水準の目標値となる。また、30年度には、国が管理する道路で道路照明のLED化、道路関係車両の電動化で、それぞれ100%の達成を目指す。
国内CO2排出量の約18%を占める道路の脱炭素化を進めることで、50年目標の達成につなげる考えだ。
対象者 | 一般,自動車業界 |
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日刊自動車新聞 6月25日掲載