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2018年2月16日

京大研究グループ、貴金属成分の酸化還元挙動を解明 排ガス浄化触媒の高性能化へ

京都大学の田中庸裕学際融合教育研究推進センター触媒・電池元素戦略ユニット長(工学研究科教授)、朝倉博行特定助教らの研究グループは、東京大学など、国内の8大学・研究機関と共同で、自動車排ガス浄化触媒での貴金属成分の酸化還元挙動を解明したと発表した。今後、浄化性能向上の要因を解明して高性能な自動車排ガス浄化触媒の設計につなげる。

自動車排ガス浄化触媒には貴金属成分が互いにくっつき合って触媒性能が低下してしまうのを防ぐため、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金などの貴金属が大量に使用されている。これまで、金属粒子成長過程の酸化還元に関して排ガスに近い環境での基本的な挙動は明らかになっていなかった。
今回、研究グループは大型放射光施設「スプリング―8」の共用ビームラインで、模擬排ガス環境下でリアルタイム分析を行うことでRh粒子の酸化還元挙動を解明。貴金属粒子表面の酸化過程で酸化する箇所が徐々に広がっていくのに対して、還元過程では表面がランダムに還元されていくことが明らかになった。
触媒・電池元素戦略ユニットの細川三郎特定准教授は、触媒反応中に酸素を出し入れすることで高い浄化性能を保つことを可能にする新たな酸素貯蔵材料の開発に成功している。この技術を応用することで今回の知見は、貴金属使用量の低減や高耐久化につながる可能性がある。

日刊自動車新聞2月15日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

京都大学

対象者 自動車業界