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2025年6月25日

政府、2029年度にもスキャンツール保有率を認証工場で100%へ 補助政策を総動員

 国は、2029年度にもほぼ全ての認証工場にスキャンツール(外部故障診断機)を持たせる方針を決めた。整備士不足が深刻化する中、トラブルシューティング(故障探求)などを短時間で済ませるなど、労働生産性を高めるのが狙いだ。今後、5年間で補助金などの関連政策を総動員し、安心・安全なクルマ社会の維持した上で整備事業者の賃上げ環境も整えていく。

 「新しい資本主義実行計画」に基づく「省力化投資促進プラン」を飲食や宿泊、運輸など人手不足が特に深刻な全12業種で定め、このなかに自動車整備業を含めた。29年度までを「省力化投資集中期間」とし、スキャンツール補助金(国土交通省)や中小企業省力化投資補助金(中小企業庁)、賃上げ支援助成金(厚生労働省)など政府の補助政策を総動員する。規制や制度なども合わせて見直す。

 現在、認証工場は国内に約9万2千事業場ある。20年に始まった特定整備を行うには、スキャンツールの保有が条件の一つになるものの、足元の導入率は7割に満たないのが現状だ。

 一方で、電動化や先進運転支援システム(ADAS)の搭載などで自動車整備に求められる技術が高度化しているほか、整備士をはじめとした人材の確保も難しくなっている。スキャンツールを用いることで、高度な技術を必要とする点検整備への対応と作業の省力化を促していく。

 スキャンツール補助金に関しては、より幅広い車種の点検や高度な診断に活用できるよう、制度の見直しを検討していく。

 整備業における省力化投資促進プランのKPI(成果指標)として、スキャンツール100%以外にも、24年度からの労働生産性上昇率(29年度で25%)、業務支援システム導入率(同100%)、車検に伴う記録事務代行対応率(同70%)などを設け、達成を目指していく。

対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞 6月25日掲載