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自動車産業インフォメーション

2025年6月23日

国交省、自動車メーカーなどから整備工場への情報提供を実態調査 制度見直しも視野に

 国土交通省は、自動車の整備に必要な情報が自動車メーカーなどから適切に整備工場へ提供されているか実態を調査する。2019年の法改正で整備に必要な情報の提供がメーカーなどに義務付けられたが、整備工場からは「社内秘だとしてディーラーから提供を断られた」「整備に必要な旧型スキャンツール(外部故障診断機)が入手しづらい」などの声が寄せられていた。先進運転支援システム(ADAS)の普及など、高度化する自動車の安全性を保つには、実態に即して情報提供を促していく必要があると判断、調査結果を基に制度を見直す。

 自動車の点検や整備には、メーカーが発行する「整備マニュアル」やスキャンツールが不可欠だ。日本では、こうした情報の提供は道路運送車両法上の努力義務だったが、2019年の改正で提供が義務化され、省令で「整備工場が容易に入手できること」「有償の場合、金額は合理的かつ妥当で、不倒に差別的ではないこと」などと規定された。

 しかし、国交省のもとには、メーカー系列の部品販売会社や輸入車ディーラーがこの制度を知らずに整備マニュアルなどの提供を断ったりした事例が寄せられた。また「古くなった車両に用いる旧型の純正スキャンツールが手に入らない」といった相談もあったという。

 整備に必要な情報の提供義務はメーカーやインポーター(輸入業者)にあり、ディーラーが情報提供を断るのは直ちに法律違反とはならない。しかし、整備情報を円滑に提供する制度の趣旨上、実態をきめ細かく把握し、改善していくことが必要と国交省は判断した。

 全国の認証工場を対象に、7月から調査に着手する。輸入車の整備マニュアルにおいては、入手が困難なメーカーとモデル、入手が困難な理由、提供を断った企業名などを聞き取る。すでに整備マニュアルの提供が定着している国産車向けでは、提供されている情報の精度や満足度などを調べる。調査結果は、行政指導や制度設計などに反映させていく方針だ。

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞6月23日掲載