2025年5月22日
人とくるまのテクノジー展横浜開幕 最新の製品や技術を披露 主役の一つは各社のSDV対応
21日に開幕した「人とくるまのテクノロジー展2025横浜」(主催=自動車技術会)では、サプライヤーやベンダー各社が電動化などに対応する最新の製品や技術を披露している。柱の一つは、近年のトレンドになっているソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)だ。
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ヴァレオジャパン(アレクサンドル・ギアー社長、東京都渋谷区)は、年初の「CES2025」でも披露した「SDVエコシステム」を軸に据えた。ソフト開発の工数やコストの課題に対応。数多くのシミュレーションによる確認作業や、センサーを使ったテストなどのシステムを一体化できるため、世界各地に分散する開発・テスト部門がシームレスに連携しやすくなる。バーチャル(仮想)の電子制御ユニットも備え、「ここまで踏み込んでいるサービスはまずないのでは」(伊藤善仁ディレクター)と自信を示す。
デンソーは、UX(ユーザー体験)に基づくSDVのコンセプトを動画やパネルで展示した。車を乗り換えた場合やカーシェアなど普段と違う車を運転する際に、過去の運転で蓄えたプロファイルデータを反映できるなど、ユーザー視点で利便性の高いアイデアを紹介。担当者は「これまで培った安全性や信頼性をベースに、UXの部分を上に乗せることで価値を提供したい。自動車メーカーやIT企業などと連携し、共創していきたい」と述べた。
シェフラージャパン(田中昌一社長、横浜市保土ヶ谷区)は、電気・電子関連の複数モジュールを組み合わせる「Xイン1」のコンセプトを披露した。ブロックのように必要なものを一体化させ、それをはめ込むことにより開発期間を短縮できる。制御系ユニットも搭載可能なためOTA(オーバー・ジ・エア)での不具合対応などがしやすくなるなど、SDV開発を支援する。
SDVでは、さまざまなアプリケーションを使いやすくする上で、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の共通化が課題となっている。開発の効率化に向け、標準化アプローチに関する展示を手掛けたのがボッシュ(クリスチャン・メッカー社長、横浜市都筑区)だ。業界団体の議論をリードしている取り組みを、ブースで紹介している。
車室空間を支えるデバイスや技術の提案も相次ぐ。アルプスアルパインは、車載ディスプレーやステアリングスイッチに内蔵する触覚アクチュエーターを紹介。タッチパネルに組み込むことで、直接操作したかのような感触を得ることができる。操作のフィードバックが得られることで作動確認の手間を減らし、乗員のストレス低減のほか、快適性や安全性向上につなげる。
東レは、次世代モビリティの車内空間コンセプトモデル「ティーウエーブCS40」を出展。今年はアンビエントライトと操作パネルを組み合わせた機能などを新たに搭載した。独自開発の内装用発泡材とライトを重ね合わせて座席と一体感のある意匠としたコンソールは、調光やディスプレーへの映像投影などを操作できる。複数の自動車メーカーと採用に向けて調整しており、「SDV普及に伴い車内空間の過ごし方が一層重要性を増す中、需要伸長が見込める」という。
SDVをめぐっては自動車メーカーやティア1(1次サプライヤー)だけではなく、開発を支えるIT業界も力を入れる。アマゾンウェブサービスジャパン(白幡晶彦社長、東京都品川区)が初出展し、自動車ソフト開発や製品設計などを支えるソリューションなどを例示している。
ヴァレオのブースではSDVの開発支援を紹介する
アルプスアルパインの触覚アクチュエーター
次世代モビリティのコンセプトモデルを披露する東レ
対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞5月22日掲載