2025年4月23日
経産省、2040年の「産業構造ビジョン」公表 名目GDPは975兆円 中小企業を経済成長の切り札に
経済産業省は22日、2040年の「産業構造ビジョン」を公表した。国内投資を足元の2倍となる200兆円と仮定した場合、40年の名目GDP(国内総生産)は約975兆円になると試算した。経産省はまた、売上高100億円規模の中小企業を国内の経済成長に貢献する「切り札」と位置づけ、政策支援の必要性などをビジョンに盛り込んだ。
同日、開いた産業構造審議会(経産相の諮問機関)の席上、中間整理案として同ビジョンを公表した。
40年に国内投資を現状から倍増すると試算した場合、建物など既存型の投資は横ばいだが、ソフトウエアやロボット、通信機器などの次世代投資が21年比で1.8倍に拡大するとした。生産現場でデジタル・トランスフォーメーション(DX)化やロボットの導入が進むことで生産性が上がり、名目賃金は年間3.3%増える。1時間当たりでは40年に現在の約2倍となる5366円に伸びるとした。
また、企業の生産活動に必要な設備の総量を指す「民間資本ストック」は、21年は1519兆円だった。産業構造にこのまま大きな変化がなく、雇用の減少などといった問題が生じる「ベースケース」の場合、40年には1417兆円に縮小する見込み。一方、産業構造にDX化や雇用の構成変化などを反映した「新機軸ベース」では、1825兆円に拡大するとし、こうした取り組みの重要性を指摘した。
産業別で見ると、製造業は21年の253兆円から、新機軸ケースでは40年に361兆円へと増える。DX化やメンテナンスなどのサービス化、雇用面では情報処理技術者の増加などを前提とする。
産構審はまた、政策の方向性として中堅、中小企業の成長支援を挙げた。中でも現在4500社程度にとどまる売上高100億円規模の中小企業層を拡大するため、海外展開や健全なM&A(企業の合併・買収)市場の創出を支援していくとした。
対象者 | 一般,自動車業界 |
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日刊自動車新聞 4月23日掲載