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自動車産業インフォメーション

2025年4月22日

トランプ関税で募る不安 経産省の相談窓口に2000件の問い合わせ 政策への反映急ぐ

 〝トランプ関税〟に関する企業から国への問い合わせが4月からの2週間ほどで2千件弱に達した。経済産業省が実施した自動車関係企業へのヒアリングでは、直接的な影響はまだ多くはないものの、販売減や値下げ圧力、雇用などへの影響を危ぐする声が多かった。資金繰り支援やエネルギーコストへの補助などを求めることも多く挙がっており、経産省は今後の政策に反映していく考えだ。

 政府は4月3日、日本貿易振興機構(JETRO)や日本政策金融金庫など全国約1千カ所にトランプ関税に関する相談窓口を設置した。この窓口には18日時点で1937件の相談が寄せられた。経産省によると、関税措置への対応や資金繰り支援に関する問い合わせが多かった。

 また、4月7~13日の期間には、政府関係者が広島や群馬といった全国の自動車関連企業の集積地を訪問し、中小企業を中心に関税影響に関するヒアリングを実施した。

 21日に開いた第3回「米国関税対策本部」でこうしたヒアリングの結果を公表した。足元では「関税の影響がまだ多くはない」と回答する企業が多かったという。一方「現時点で受注減は見込んでいないが、今後の値下げ圧力を懸念」「減産で雇用の過剰が出てくれば、〝派遣切り〟などが起こりうる。最悪の場合、早期退職などに取り組まなければならない」「計画している設備投資や賃上げの実施を懸念している」などの意見が自動車関連企業から挙がった。取引先との価格転嫁の交渉に影響が出てくることを心配する企業もあった。

 特に自動車は競合他社も多く、値上げした場合、当該企業の売り上げやシェアが減少するリスクがある。経産省としては、企業からの要望が多かった「関税に関する迅速な情報提供」「資金繰りや国内投資、新分野進出に関する政策支援」に関し、速やかに対応していく考えだ。

日刊自動車新聞4月22日掲載