2025年4月17日
国内の自動車用金型、設計基盤の共通化へ 指示方法などをガイドラインに 開発効率化と品質向上
日本の自動車用金型業界の競争力強化に向け、設計基盤を共通化する動きが始まった。自動車メーカーやプレス金型メーカー、部品メーカーなどで構成する会議体が、メーカーごとに異なる金型設計の指示方法などを定め、今年から各社へ展開を開始する。将来的には金型の3次元設計の普及をにらみ、サプライチェーン(調達網)での標準化を目指す。オールジャパンで規格統一を図ることで、開発効率化と品質向上につなげていく狙いだ。
会議体は、トヨタ自動車や金型メーカーのハヤシ(林秀昭代表、大阪市淀川区)など、自動車メーカー8社と部品メーカー、プレス金型メーカーの計35社で構成する有志団体「自動車金型づくり効率化推進会議」。昨年から本格的に活動を開始した。
日本の自動車用金型では、自動車メーカーが1990年代から3次元設計を取り入れたものの、金属加工メーカーなどが対応しておらず、金型メーカーが2次元で図面を引き直すといったロスが生じている。また、3次元設計の色分け加工指示は、部品名称を含めてメーカーごとに独自ルールで運用しており、金型メーカーが各社の設計内容を読み解く必要がある。このため指示の確認などサプライチェーン全体で手戻りが多く発生しているのが実情だ。
こうした課題の解決に向け、会議体ではまず、設計指示を加工の種類ごとに14色に統一。非競争領域での加工誤差の許容範囲も具体的な数値を定めた。これら6つの領域でガイドラインを随時取りまとめ、各社でトライアルを今年から始める。将来的には日本のプレス金型業界として規格を統一するとともに、3次元設計を標準化し、開発と生産の効率化や品質向上を目指す。
すでにドイツの自動車メーカーでは金型の統一規格を定めており、競争力強化につなげている。
国内の金型事業所数は現在、1990年代の3分の1ほどまで減少している。中国や韓国勢が3次元設計を用いて、日本を凌ぐ勢いで成長している。その中で会議体はまず、規格統一などの取り組みの訴求と浸透を図っていく。経済産業省も会議体の取り組みに賛同しており、将来的には国内金型産業の人材確保と育成にもつなげたい考えだ。
プレス金型は自動車の量産に欠かせない
自動車メーカーと金型メーカーなどで規格統一への動きが始まった
対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞4月17日掲載