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自動車産業インフォメーション

2025年4月17日

政府、経済安全保障の行動計画を改訂 ペロブスカイト太陽電池など5分野で国際標準化を主導

 政府は6月にも「経済安全保障に関する産業・技術強化基盤アクションプラン(行動計画)」を改定する。15日に開いた有識者会議では、日本が優位性を持つ「水素・アンモニア」などの5分野において、政府主導で国際標準化を進める方向性を示した。また、重要物資の一つとして電気自動車(EV)を例示し、主要部品や電池材料の安定確保に向けて、企業側に継続的な取り組みを求める必要性にも触れた。

 行動計画は2023年に初めて策定された。改定は24年に続き3回目となる。米トランプ政権による関税政策や中国の重要鉱物(レアメタル)規制といった他国の動きを踏まえ、日本の国内産業において技術基盤や自律性を確保するための具体策を盛り込む。

 日本勢が技術面などで先行する領域を洗い出し、国が主導する形で国際標準化に向けた取り組みを進める。まずは水素・アンモニア、「バイオものづくり」、「ペロブスカイト太陽電池」など5分野で標準化や知財戦略策定などを始める考えだ。ペロブスカイト太陽電池は、現在主流のシリコン系の太陽電池に比べて薄くて軽いなどの特徴がある。原料のヨウ素も日本の生産量シェアが高い。

 EV向けで需要増が見込まれる全固体電池や三元系リチウムイオン電池、高性能パワー半導体などに関しても日本勢の優位性や他国への依存度を分析し、適切な政策手段を取っていく。

 中国など特定の国への依存度が高いレアメタルについては、国家備蓄や、製錬など上流工程の開発をさらに推し進める。レアメタルの安定確保に向け、政策支援を拡充していく。

 15日の会議では、重要物資の一つとしてEVが例示された。アフターサービスの拡充や充電インフラ整備に加え、電池や駆動部品に用いるレアメタルの安定確保に向けた取り組みを評価する必要性にも言及した。

 レアメタルの調達に関しては、現行の「クリーンエネルギー自動車(CEV)導入促進補助金」でも補助額の算出項目にすでに組み込まれている。「調達先を多元化していく取り組みを、中長期的に(完成車メーカーの)経営レベルに求めていく必要がある」(経産省自動車課)としており、今回の行動計画の内容が、今後のCEV補助金の評価項目に反映される可能性もありそうだ。

 新しい行動計画は6月にも公表される見通しだ。


日産の全固体電池(試作品)

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞4月17日掲載