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2025年4月16日

WP29、電池交換式EVの基準づくりを日本主導で議論 まずは2027年までに商用車

 自動車の国際基準を決める国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)は、日本からの提案を踏まえ、電池交換式電気自動車(EV)の基準づくりに入ることで合意した。国土交通省が議論を主導する見通し。まずは商用車を想定した基準案を2027年にもつくり、30年までに加盟国の国内法規に反映できるようにする。安全性などの確保とともに、電池交換サービスの標準化機運が高まり、交換式電池や車両の普及につながる可能性もある。

 電池交換式EVは、充電の待ち時間をなくせるほか、車両と電池の所有権や販売スキームを分ける「車電分離」の事業モデルでEV普及に弾みをつける手立ても取れる。すでに二輪車用のほか、四輪車用(乗用、商用)でも実証や実用化が始まっている。中国やインドなどが実用化で先行するが、国内でもホンダやヤマハ発動機などが出資するGachaco(ガチャコ、渡辺一成社長、東京都港区)が二輪車用サービスを始めたほか、商用車では三菱ふそうトラック・バスやいすゞ自動車が実証に入っている。

 国土交通省はまず、商用車で車両や電池の基準をつくることにし、官民で準備を進めてスイス・ジュネーブでこのほど開かれたWP29の関係分科会に提案し、加盟国の同意を得た。今後①電池を取り外せる車両の安全性②電池単体の安全性や耐久性③ソフトウエア更新やサイバーセキュリティー対策―などの議論が始まる見通し。基準案の具体化とともに、二輪車や乗用車の基準づくりの議論へと発展していく可能性もあるという。

 国交省は、商用車各社とWP29での議論を主導するとともに、経済産業省とも連携し、国際標準化活動をオールジャパンで進める。日本主導の基準が採択されれば、商用車や電池メーカーが海外でも交換式車両や電池を展開しやすくなる効果も期待できる。

対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞 4月16日掲載