2025年4月1日
〈2025年4月からこう変わる〉CEV補助金・原付1種・トップ交代・企業合併… 税制改正議論にも注目
今春の自動車業界は〝トランプ関税〟の行方が最大の関心事だが、国内では4月から「エコカー減税」の基準が切り上がるほか「クリーンエネルギー自動車(CEV)導入促進補助金」に〝グリーン鋼材〟の評価が加わり、最大5万円が補助額に上乗せされる。租税特別措置法に基づくエコカー減税は今年度で期限切れだ。電動車シフトをにらんだ抜本改正への道筋がどうなるか、与野党の税制改正議論も注目される。
また、いわゆる「原付バイク」について、排気量125cc以下で、最高出力や速度を抑えた車両が加わる。今の50ccでは排ガス規制の対応にコストがかさむとして、二輪業界が求めていたものだ。ただし、原付(1種)免許でどんな125ccでも乗れるわけではない。出力や速度の規制も今の原付1種と何ら変わりはないので注意が必要だ。
車庫証明シール(保管場所標章)は廃止される。こちらもナンバープレートから保管場所を照会するシステムが全国で整ったためで、車庫証明の必要がなくなったわけではない。
新技術では、カーナビに表示される渋滞情報で「VICSプローブ活用サービス」が始まった。プローブは「探針」という意味。走り回る車両をセンサーに見立て、位置や速度の情報で渋滞の有無などを判断する技術だ。すでに自動車メーカーの個別サービスやスマートフォンには実装されているが、4月からはすべてのVICS対応ナビで表示されるようになる。
企業では、曲折の末、日産自動車のトップにイヴァン・エスピノーサ氏が就いた。先月末には新車や新技術の投入計画を公表したが、リストラを着実に進めつつ、士気を高めてブランド力を立て直す重責を担う。UDトラックスでは、いすゞ自動車出身の伊藤公一会長が社長兼最高経営責任者(CEO)として采配を振るう。
大手部品メーカーの日立アステモは「アステモ」に社名変更した。日立オートモティブシステムズとホンダ系のケーヒン、ショーワ、日信工業が経営統合して2021年に発足したが、その後、株主のホンダが出資比率を日立製作所と同じ40%に引き上げ、今はホンダ出身の竹内弘平氏が社長を務める。社名から「日立」を外し、グローバルメガサプライヤーとして技術とともにブランド力を磨く。
ディーラーでは、アンビシャスグループ北海道(AGH、池田義典社長)傘下のトヨタディーラー3社が合併し「AGHトヨタ札幌」になる。トヨタ系では20年のトヨタ全車種併売後、販社グループの再編や拠点の統廃合が相次ぎ、これまでに40社以上の販社、200店以上の新車販売店(中古車併売店含む)が姿を消した。時代に合わせて経営体制を効率化し、浮いた経営資源でトヨタが主導する「MEC(メック)ハブ」へと店舗の形態や運営をシフトさせていく。
MECは「モビリティ」「エネルギー」「コミュニティー」の頭文字をとったもので、エネルギーの〝地産地消〟やBCP(事業継続計画)機能、多様なモビリティサービス機能、コミュニケーション機能などを地域拠点に持たせていく考え方だ。
奈良では、地場のホンダディーラー4社が対等合併し「ホンダカーズ飛鳥」が誕生した。二輪から四輪販売への移行組も含め、ホンダはもともと多くの地場ディーラーを持つため、06年の3チャンネル統合後、20年かけて再編を促してきた。過去に1千社あった販社数は約530社(昨年7月)になったが、それでもトヨタ(約230社)や日産自動車(約115社)、スズキ(約270社)よりはるかに多い。販売・アフターサービス網の効率化が課題だ。ホンダ系ではこのほか、ホンダ直営のホンダモビリティ中部はホンダプリモチタから、ホンダカーズ三河はホンダオート刈谷から、いずれも事業を譲渡される。27年春からマージン(利ざや)制度の刷新も控え、ホンダ系列販社の再編ペースは加速しそうだ。
日刊自動車新聞4月1日掲載