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2025年3月24日

損保協の城田会長、自動車保険販売の新ルール策定


      城田宏明会長

 一連の不祥事を受けて自動車保険の販売ルールの見直しが進む中、その方向性の解釈をめぐり、〝玉虫色〟になっている論点が浮上してきた。損害保険の代理店を兼務しているディーラー各社が加盟する日本自動車販売協会連合会(自販連、加藤敏彦会長)の幹部が、大幅な修正は不要との独自の見方を示す一方、日本損害保険協会(損保協)の城田宏明会長(東京海上日動火災保険社長)は「(それが妥当かどうか)分からない」としている。今後、金融庁が細かいルールを策定していくが、その行方に注目が集まりそうだ。

 城田会長は21日の会見で、新ルールについて答えた。

 これまで、ディーラーを含む乗合保険代理店は、自社の店舗ごとに推奨する銘柄を決める慣行があった。いわゆる「テリトリー制」だ。旧ビッグモーター問題では強力な保険販売力を有していることを背景に、損保各社に便宜供与を競わせ、各店舗で扱う商品を決めていた。これが構造的課題の一つであると、金融庁の議論でも指摘された。そのため、保険業法の施行規則(省令)を改正し、代理店都合による推奨商品の販売ができなくなることになった。

 これに対して自販連の小糸正樹副会長専務理事は3月上旬、「店舗ごとに推奨商品を決めていても、顧客の意向に寄り添い、他の社の保険を希望する場合、きちんと対応するというやり方であれば、大きな修正の必要はない」との考えを明らかにしていた。

 しかし、代理店側に「お勧めはこれ」と何らかの形で示されると、顧客の意思が通りにくくなる可能性もある。損保にとっても「推奨商品」に選ばれるために忖度(そんたく)し、保険業法にのっとった代理店への指導がしにくくなる懸念もある。

 これについて城田会長は「まだ細かいルールが決まっていない」とした上で、自販連幹部の解釈についても「分からない」と繰り返した。ただ、施行規則の改正でテリトリー制が認められていた法的根拠がなくなる。結果的にテリトリー制が機能しなくなるということについては「その通り」とし、2024年12月の会見と同様の見方を示していた。

 金融庁は顧客の意向を最優先にするため、保険販売の経緯を記録に残すことを検討している。顧客本位の販売が形骸化しないようにする方針だが、そうなる可能性について各方面から懸念が出ているのも実情だ。

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞3月24日掲載