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2025年3月17日

損保、代理店の手数料ポイント制度 規模の評価引き下げ 新指標に自己完結度

 一連の不祥事を受けて損害保険会社とディーラーを含む保険代理店の関係見直しが進む中、損保大手4社が2026年度(26年7月~)から導入する新しい「手数料ポイント制度」の概要が判明した。従来、評価の最大のポイントだった保険販売のボリュームや伸び率といった「規模」については、全社が比率を下げた。4社の具体的な数値が表面化するのは初めて。代理店の業務を過剰に肩代わりしていた「二重構造」も問題視されたことから、代理店の「自己完結度」を新しく指標に採り入れた社も多かった。

 手数料ポイント制度は、損保各社が独自に運営している代理店の評価制度。各社とも骨格は似ているが、細かい部分で違いがある。ポイントが高ければ代理店の販売手数料は増える。一般的に20~110点まで差がつく。毎年4月から翌3月までを評価し、7月から新しい報酬体系を適用する。

 この制度をめぐっては、損保側が保険の販売額や伸び率の比重を大きくしてきたため、代理店がそれを特に重視することになり、結果的に顧客の利益が後回しになってしまったと、金融庁が主催する専門家の議論でも指摘された。

 専業代理店からも、保険販売量が多い自動車販売店が兼業する代理店を損保が優遇していると指摘されている。旧ビッグモーターの不正を見て見ぬふりをした背景もここにある。

 こうした指摘を受け、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険は規模での評価を約4割に抑えた。25年度は約80%だった損保ジャパンは、29年度までに約50%にしたい考え。これと引き換えに、各社は品質評価の比重を上げている。

 また、東京海上日動火災保険とあいおいニッセイ同和損保は、「シェア」評価を廃止した。複数の銘柄を取り扱う乗合代理店の中で、自社のシェアをどこまで高めたかを評価基準にしていたが、顧客の意向を最優先することを重視する。

 加えて、東京海上日動と三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保は、顧客からのアンケート回収を重視したり拡充したりした。顧客の意向を大事にしているかを測るためだ。

 同じ評価項目でも、社によって対応が異なるケースも出た。損保ジャパンはペーパーレスの手続き率を廃止した。顧客が紙の方が良いという場合があるためだ。しかし、東京海上日動は維持した。電子画面の方が約款をしっかり読んで電子チェックを入れないと先に進めず、その方が顧客のためになるという考えからだ。

対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞 3月17日掲載