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2025年3月12日

政府、下請法改正案を閣議決定 適正取引の浸透へ 呼称も「中小受託事業者」へ

 政府は11日、下請代金支払遅延等防止法(下請法)と下請中小企業振興法(下請振興法)の改正法案を閣議決定した。一方的な取引額の決定を禁じるほか、直接の取引関係を問わず、2次請け先も含めた連携を支援して価格交渉を進めやすくする。直取引先を越えた取り組みにより、サプライチェーン(供給網)全体で適正取引が浸透する効果が見込める。「下請事業者」の呼称も「中小受託事業者(仮称)」に改める。今国会での成立を目指す。 

 中小企業庁によると、サプライチェーンの取引階層が深くなるに連れて価格転嫁の割合が低くなる傾向がある。直接の取引先を越え「2次請けより先の取引先まで含めた価格交渉をしない」という商習慣も、価格転嫁が広がらない一因となっている。

 このため、下請振興法の改正では、取引段階の異なる3社以上の「振興事業計画」を承認する規定を加え、こうした取り組みを支援することで、サプライチェーン全体に適正取引を浸透させる。自動車関連では、部品の改良や生産の効率化、補修部品用の金型保管などについても取引段階が異なる事業者が連携し、取り組みで得た成果を共有できるようにする。

 価格転嫁が不十分な事業者に対し、指導や助言を実施しても改善が見られない場合は、所管大臣がより具体的な措置の実施を「勧奨」する規定も追加し、価格転嫁の実効性を高める。

 下請法の改正では、規制する内容や対象を追加した。取引価格に関し、従来は「買い叩き」や発注後の減額などを規定する一方、値上げ要請には対応しにくかったという。今後は、価格交渉において必要な説明や情報提供を怠ったり、一方的に代金を決めたりすることを禁じる。また、従来は発注企業と下請け企業の区分を資本金で分類していたが、従業員数も加味して規制対象を広げるほか、仕入先を増資するなどの〝義務逃れ〟にも対処する。

 今回の改正では用語も見直し、下請事業者を「中小受託事業者」、発注者(親事業者)を「委託事業者」とし、下請振興法は「受託中小企業振興法」に変更する。下請法も「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」に名称を変える。名実ともに対等な立場での取引を浸透させていく狙いがある。

対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞 3月12日掲載