2025年2月7日
国交省、自動車の認証業務で内部統制報告書や抜き取り試験を義務化
国土交通省は、自動車・部品の認証業務に関する内部統制報告書の提出や、型式指定後の「抜き取り試験」などを自動車メーカーらに義務付ける方針を固めた。型式指定申請時における不正行為を防ぐことが狙いだ。自動車型式指定規則などの一部を改正し、3月末に省令などを公布。2026年4月から施行する。
近年、相次いだ自動車メーカーなどによる型式指定申請の不正事案を受け、国交省は有識者を含めた検討会で再発防止策を昨春から議論し、昨年暮れに一定の方向性をまとめた。これまでも不正のたびに監査や罰則などを強化してきたが、今回は自動車メーカーなどが自ら不正を抑止したり、早期発見できる社内の仕組みをつくり、有効に機能させることに主眼を置いた。
認証業務に関する内部統制の強化や徹底を自動車メーカーなどに求めるに当たり①法令順守を経営方針に明記②「認証業務責任者(仮称)」と申請車種の「プロジェクト管理者(同)」の明確化③内部統制の実施状況の評価・報告―を重要事項として義務付ける。さらに実施を「推奨」する事項も具体的に示す。
自動車メーカーなどは、それらの実施状況と自主評価結果を報告書として作成し、型式指定審査時に国交省に提出する必要がある。将来的には、第三者機関を活用して評価を行う仕組みを検討する。
さらに、型式指定後に生産ラインから量産車を抜き取り、国交省などが保安基準適合性などを確認する「量産車適合監視」を制度化して新たに導入する。対象車種や試験項目などは、メーカー各社から提出される内部統制の報告書などを踏まえ、個別に決めていく。保安基準不適合や不正行為の疑義が浮上した場合、追加の試験を課して結果報告を求める。
このほかにも、型式指定の関連規定に違反した企業に対する措置を強化する。審査にかかる費用が増えることなどを見越して手数料も一部見直す。これらは今年4月にも施行する。
具体的には、道路運送車両法に基づく「是正命令」を受けた企業に対し、行政処分適用日以後に初めて型式指定申請を行う際、再発防止策を適切に実施したことを示す書類の提出を求める。現行制度では型式指定の取り消しまたは効力停止の行政処分を受けた場合のみに求めている。
一部改良に伴う型式変更の申請時には、不正事案の内容などを踏まえ、国交省の判断で変更内容以外の審査や関連書類の提出を求めていく。
対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞2月7日掲載