2025年2月4日
トランプ関税、日本の自動車・部品メーカーに打撃 米国メーカーにも影響大きく
3日午前の東京株式市場では、スズキを除く自動車メーカー株が大幅に下落した。特にメキシコやカナダで完成車を生産するマツダやホンダ、日産自動車、トヨタ自動車の下落率が大きかった。米トランプ大統領がメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課すと大統領令に署名し、業績への影響を懸念する売りが広がった。一時は前週末比1100円超まで下落幅を拡大。下値で買い戻す動きも見られたが、前場の終値は959円53銭安の3万8612円96銭だった。ただ、米の自動車メーカーや新車販売への影響も大きい。
米大統領令ではメキシコとカナダからの輸入品に25%、中国に10%の追加関税を課す。メキシコとカナダへの関税の影響を最も大きく受けるのが自動車産業だ。
野村証券によると、メキシコ、カナダ、中国への関税が発動された場合、自動車メーカー(現地メーカー含む)の営業利益に与える影響額は330億㌦(5兆1千億円)にものぼる。内訳は、完成車が190億㌦、部品が135億㌦。地域別ではメキシコの輸出に対する影響額が220億㌦程度で、全体の7割を占める。
大統領選を終えた後、トランプ氏が今回の関税策を最初に表明したのは昨年11月だった。ただ、業界には「すぐに実行する可能性は低いだろう」という見方が多勢だった。昨年11月の決算説明会でホンダの青山真二社長は「米国の自動車メーカーにも大きな影響を与える」と話していた。
野村のレポートでも、メーカー別の影響額でゼネラル・モーターズ(GM)が最も大きい。関税コストを売価に転嫁しない場合、25年12月期の同社の米国の営業利益は90%も減少するという。ステランティスも54%、フォードも29%の減益要因になるという見立てだ。売価に転嫁すれば新車販売の足を引っ張る要因になる。
日本のメーカーで、特に影響が懸念されるのはマツダだ。米アラバマに生産拠点を持つものの、メキシコなどからの輸出に依存しているのが現状で、同レポートでの影響規模も55%の減益とGMに次いで2番目に多い。そのほかの日本勢はホンダ(35%減)、トヨタ(17%減)と続く。日産は北米事業がすでに営業赤字だが、さらに今回の関税で10億㌦程度の費用が生じる可能性があるという。
日刊自動車新聞2月4日掲載