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2025年2月3日

欧州の自工会・部工会、CO2排出の規制緩和で声明 罰金軽減やリードタイム確保など

欧州自動車工業会(ACEA)と欧州自動車部品工業会(CLEPA)は、乗用車と商用車の二酸化炭素(CO2)排出規制の緩和を求める声明を発表した。電気自動車(EV)販売が失速する中、規制を満たせないことにより罰金を軽くしたり、規制を厳しくするまでのリードタイムを乗用車と商用バンは3年、商用車は7年取ることを求めている。また、欧州委員会委員長ら閣僚と、欧州自動車メーカー、部品メーカー首脳らが4半期ごとに「戦略的対話」を開くことなども求めた。

 欧州委員会はCO2排出量について、2025年は19年比で排出量を平均15%削減することを求めている。達成できない場合は罰金が課せられ、今後も段階的に引き上げられる。

 一方、欧州のEV販売は勢いが鈍っており、車両価格の高さや充電網の不足などの課題が残る。主要市場のドイツ、フランス、イタリアはいずれも景気が低迷している。フォルクスワーゲンなどが大規模リストラに踏み切る中、中国メーカーが安価を強みに欧州での販売拡大を模索するなど、市場環境が激変している。

 こうした状況を踏まえ、ACEAとCLEPAは産業競争力と雇用の維持を目的に、欧州委員会閣僚らとの協議とCO2規制の負担軽減を求めている。

 具体的には「すぐさま取り組むべきトピック」として、CO2規制の見直しのほか、ゼロエミッション車(ZEV)の購入補助金、米中貿易摩擦による影響評価などについての議論を挙げた。中期的には規制施行までのリードタイム確保、長期的には関連法規を含めた見直しや、送電網の整備、EVの点検修理やサイバーセキュリティーなどの人材育成に向けた「自動車技能アカデミー」の設立などについての議論を求めている。

 ACEAは「小型車に課せられる25年のCO2規制の罰金の負担軽減は、業界の競争力維持に不可欠」と主張する。CLEPAも「部品業界は24年に5万4千人の雇用喪失を発表した。今こそ業界と政治が足並みを揃えて行動を取るべき」と訴えた。

 24年の欧州EV新車販売(主要31カ国、乗用車)は23年から1.3%減の199万台で、市場シェアは15.3%に留まる。また車両総重量(GVW)3.5㌧以上の電気トラック(EVトラック)は1万724台で、シェアは2.7%だった。

対象者 一般,自動車業界
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日刊自動車新聞 2月3日掲載