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自動車産業インフォメーション

2025年2月3日

国交省、整備事業者への行政処分基準を追加 訪問特定整備制度で 認証事業者の違反も厳罰化

旧ビッグモーターによる不正車検や「訪問特定整備制度」の開始を踏まえ、国土交通省は自動車整備事業者に対する行政処分の基準を見直す。訪問特定整備に関する処分規定や、組織的な法令違反を行った整備事業者に対する処分規定の追加などを行う。パブリックコメント(意見募集)を経て今年度内に処分基準と関係通達の改正を行い、6月の施行を目指す。

 国交省は、専門の認証を受けた事業者が顧客の事業場や自宅に出向いて特定整備(旧分解整備など)を行える訪問特定整備制度を6月から始める予定だ。これに伴い、訪問特定整備に関する24項目の具体的な違反事例と違反点数などを処分基準に追加する。

 この制度は、一般ユーザーや運送事業者、リース・レンタカー事業者などが、車両を整備工場に持ち込む手間を省く「訪問整備」の需要に応えるものだが、コンプライアンス(法令順守)や整備士の安全確保などの観点から、事業者に求める要件や行政処分の内容を厳しくする。

 旧ビッグモーターの不正車検問題と、同社の本社と130事業場に実施した監査と行政処分を踏まえた見直しも行う。

 本社の指導や関与などによって複数の関連事業場で悪質な法令違反が認められた場合、「組織的責任がある」として、事業者の持つ事業場すべてに対して行政処分を科せるようにする。事業場ごとの監査も行い、法令違反の有無や内容に応じて処分を検討する。

 現行の処分基準では、本社など指揮命令系統が上位のものから組織的な指示を受けたことによる違反に対する処分規定がない。旧ビッグモーターの不正車検を通じ「事業場が見捨てられるだけで終わる可能性がある」(物流・自動車局自動車整備課)との課題があった。

 認証事業者に対する違反点数について、特に故意による違反は重くなるように見直す。旧ビッグモーターに対する処分で、指定工場には37事業場で「指定取消」を行ったが、認証工場で「認証取消」に至った事業場はなかった。認証工場に対する違反項目ごとの違反点数が、指定工場のものと比べてバランスを欠くとの指摘も踏まえて見直す。

 所属する会社や事業場で自らも不正車検などの法令違反に関与したとして、国交省などに自主申告した自動車検査員に対しては、一定の条件を満たした場合に限り行政処分を軽減する。自動車検査員の解任命令を受けた場合、2年間は自動車検査員になることができない。このため「監査時に自動車検査員から正直な証言を得にくい」などの意見が挙がっていた。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞 2月3日掲載