2025年1月31日
ホンダ、初の単独電池工場 狭山に新設へ
ホンダは、同社単独では初となる車載電池工場を狭山工場(埼玉県狭山市)の敷地に新設する方針を固めた。2020年代後半に稼働させるカナダの電池工場に先駆け、生産技術を確立する狙いがある。生産規模や投資額は今後の市場動向を踏まえて決める。足元ではEVに逆風も吹くが、将来的な市場拡大を見据え、垂直統合型のEVサプライチェーン(供給網)づくりを急ぐ。
昨年6月末に部品生産も終了した狭山工場(昨年7月)
ホンダは、ジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ)と共同で27年をめどに滋賀県守山市に電池工場を建設する計画。その後、狭山に単独で工場を新設し、生産技術を確立させた上でカナダに大規模な電池工場を立ち上げる。狭山の新工場では、GSユアサとの電池の生産技術の開発会社で得た知見などを生かす。狭山、カナダともに電解液の内製化も検討する。
生産規模や投資額は現在、詰めている。一般に生産規模が大きいほど生産効率が上がり、コストを下げやすくなる。ホンダもカナダに建設する内製電池工場は最大36㌐㍗時の年産能力を予定するが、EVの市場動向が不透明な中で過剰投資のリスクもある。同社幹部は「最小単位で言えば3~4㌐㍗時だ」と語った。電池容量70㌔㍗時のEV換算で、36㌐㍗時は約25万台分、4㌐㍗時は約6万台分になる。
米トランプ大統領は今月20日、前政権時代のEV普及策を廃止する大統領令に署名した。税額控除などの優遇がなくなれば高価なEVの販売は難しくなる。ただ、ホンダは「中長期でのEVシフトの流れは変わらない」(三部敏宏社長)とみる。普及価格帯のEVで先陣を切るためには、車載電池を含めた内製化によるコスト削減がカギとみて生産技術の確立を急ぐ。
狭山工場は21年末に完成車生産を終了。一部で続けていた部品の生産も24年6月末に終えており、工場跡地の活用法を検討していた。広大な敷地や周辺に残るサプライチェーン(供給網)も生かし、競争力のある電池工場として再活用する。
対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞1月31日掲載