2025年1月29日
〝出張整備〟可能に 国交省が規制緩和 2025年6月施行へ 要件違反事業者には行政処分
国土交通省は、自動車特定整備事業者が企業や顧客の自宅を訪問し「特定整備(旧分解整備)」などを行えるよう規制を緩和する。車を整備工場に持ち込む手間を省きたい顧客ニーズに整備事業者が応えられるようにする。一方で安全確保や環境保全のために要件を定め、違反した整備事業者には行政処分を科す。パブリックコメント(意見募集)を経て道路運送車両法施行規則の一部を改正し、6月からの施行を目指す。
数日など一定期間に限り、特定整備事業の認証基準を満たした顧客の事業場で特定整備を行う①「訪問特定整備」と、顧客の事業場や自宅で特定整備の一部を行う②「限定訪問特定整備」の2種類を定める。訪問整備で可能な特定整備の範囲は、道路運送車両法(第94条の5第1項)に規定された指定自動車整備事業者が行う車検の前提となる「整備」に該当するものは除く。リコール(回収・無償修理)作業は実施できる見通しだ。
事業場ごとに整備主任者のうち少なくとも一人を「訪問特定整備等管理者」とし、実務を担う「訪問特定整備士」は1級または2級の整備士資格と3年以上の特定整備の実務経験を求める。3年以上の実務経験など一定要件を満たす3級整備士も、同行する訪問特定整備士の指示の下で作業できる。自動車車体整備士と自動車電気装置整備士も一定要件を満たせば、訪問特定整備で電子制御装置整備を行える。いずれの整備士も「訪問特定整備等教育」を社内で受講し、運輸支局長などに届け出ることが必要だ。この教育は2年ごとに受講する必要がある。受講内容などの詳細は現在、詰めている。
また、作業前日までに運輸支局長などに必要事項を電子メールで届け出た上、届け出たことを示す証票を自社のウェブサイトや訪問整備の作業場所で表示する必要がある。
ウェブサイト上では、訪問特定整備などに関する作業工賃、部品価格、旅費など料金説明の掲載も求める。料金の概算見積もりや訪問場所、作業前後の車両、交換部品の画像データや請求書の写しなどを2年間保存することも義務付ける。監査で法令違反が見つかった場合には行政処分を行う。
対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞 1月29日掲載