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自動車産業インフォメーション

2025年1月23日

2024年の使用済み車発生台数、約260.8万台 3年連続の前年割れ 過去10年で最低に

自動車リサイクル促進センター(JARC、細田衛士理事長)がまとめた2024年の使用済み自動車の発生台数は、前年比4.5%減の約260万8千台だった。前年割れは3年連続。この10年間でみると、最も低い水準にとどまった。新車の供給制約により、使用済み車の発生源にもなる下取り車や買い取り車が減少したことが大きいとみられる。単月ベースでもマイナスが続いており、リサイクル事業者の仕入れ環境は当面、厳しい状況が続きそうだ。

 ここ数年のマイナスは、新車の供給問題が大きく関わっている。コロナ禍の当初は年300万台以上だったものの、半導体などの部品不足による新車の供給遅れが拡大。すぐに乗れる中古車の人気も高まった。並行して、海外で根強い日本の中古車需要を受けて、輸出も増加。結果、使用済み車に回る車両が少なくなった。さらに、部品不足が解消してきた矢先、一部メーカーでの認証不正問題が拡大したことで、事態が長引いている。

 日本自動車リサイクル機構(JAERA)の石井浩道代表理事は「当面は厳しい状況が続くのではないか」とみている。実際、JARCの統計でも、24年12月は前年同月比7.5%減の約21万台と5カ月連続のマイナスとなった。これにより、同年は9カ月で前年同月を下回ったことになる。

 業界全体でなかなか浮上の目を見いだせない状況が続くが、好材料は環境志向の高まりからリサイクル部品のニーズが高まっていることだ。部品を確保できれば販売のチャンスにつながることでもあり、1台の車両から取り出せる部品点数を増やす取り組みを進める事業者もある。加えて、主力の事業者間の取引に加え、個人客から直接買い取るなど使用済み車の仕入れルートの拡大を進めるところも目立つ。いずれにせよ、しばらくは各社それぞれの施策が生き残りを左右することになりそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞1月23日掲載