会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2025年1月20日

政府が中小企業経営者らと意見交換 「コストカット型経済」の脱却を

 政府は、価格転嫁や賃上げなどに取り組む中小企業の経営者らと首相官邸でこのほど意見交換した。石破茂首相は、これまでのデフレで染みついた〝コストカット型経済〟を脱却して「高付加価値創出型経済をいよいよ実装していかなくてはならない」と述べ、24日召集の通常国会に提出を予定する「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」の改正案で対応を急ぐ考えを示した。


             首相官邸HPより

 企業側として、自動車や建設機械などの部品材料として使われる鉄鋼製品「磨(みがき)棒鋼」の製造・販売を行う事業者団体「日本磨棒鋼工業組合」の多田茂理事長ら6人の経営者らが出席した。石破首相や武藤容治経済産業相ら政府関係者と、価格転嫁・取引適正化や省力化・生産性向上投資などについて意見を交わした。

 石破首相は「『雇用は守るから賃金が上がらないのは勘弁してね』ということはもうやめましょうと。賃金も上げます、雇用も守ります、その原資は生産性の向上で確保する。実に当たり前の話だが、これを本当に実現していかないと、この国の経済はもたない」と語った。下請法改正案についても「なるべく早く国会に提出する」とし、人手不足が深刻な運輸業界などを対象に、生産性向上を支援する計画を今春に策定する考えも示した。

 日本磨棒鋼工業組合の多田理事長は、価格交渉の結論が出るまでに半年など時間がかかる一例を挙げ、その間の中小企業は「資金繰りが非常に圧迫される」と指摘。価格交渉のスタートから数カ月以内に決着できるよう、行政指導を求めた。

 また、自動車業界でも定着している「カンバン方式」について「(同方式が)できた時代は需要が右肩上がりで、納入業者や運送事業者もそれに乗っかるしかなかった。量が増えるからなんとかできた。ただ、右肩下がりの今の時代にカンバン方式は、われわれからしたら非常に大きなコストになっている」と語った。

 多田理事長は「『一番儲けている大企業がしっかりと払ってください』とわれわれは交渉するが、現実にはなかなかいきついていない。われわれだけではなく、運送業界もドライバーの不足や高齢化で大変な状態にある。手当てをしていかないとサプライチェーン(供給網)はこのままではもたない」などと、危機感と改善の必要性を訴えた。

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞1月20日掲載