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2025年1月17日

バイオマス燃料の実用化に向け、政府が5月に行動計画(アクションプラン)をまとめる

政府は、自動車用次世代燃料の実用化を急ぐ。2030年度までにバイオマス(生物由来)燃料を10%混ぜたガソリン(E10)を供給する目標を掲げており、5月をめどに導入に向けたアクションプラン(行動計画)をまとめる。ただ、普及に向けてはコストや品質、供給網(サプライチェーン)など課題も多い。政府としては行動計画で官民の足並みをそろえ、必要な投資や政策を実行していきたい考えだ。

バイオ燃料は使用過程車の脱炭素化につながる〝即効薬〟だが…

経済産業省は昨年11月、バイオ燃料の新しい導入目標を示した。バイオ燃料の30年度までの実用化に加え、バイオ燃料を20%混合したガソリン(E20)対応車の国内新車販売比率を30年代早期に100%へと引き上げる。混合比率を高めるには改修も要るが、基本的に既存のエンジンや燃料供給網を流用でき、使用過程車のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)につながることがバイオ燃料の利点だ。今後、タスクフォースを設置して議論を進め、5月をめどに具体的なアクションプラン案を示す。

 ただ、課題も多い。現在、日本ではバイオ燃料に用いるエタノールを自給できないため、ブラジル(自給率124%)や米国(同110%)などと連携し、供給網を構築していく必要がある。需要が増せば価格も上がるため、調達コストが膨らむリスクもはらむ。穀物由来のエタノールは食料とも競合する。

 また、既存のインフラを流用できるとはいえ、バイオ燃料を混ぜる設備のほか、貯蔵タンクや燃料配管の腐食防止策など、新たな投資も求められる。燃料品質や車両に関する基準や制度も整える必要がある。

 安定供給とコストをどう両立させるかも課題だ。年明けには国産バイオ燃料の先駆けとも言えるユーグレナが、全従業員の2割を削減する方針を公表した。バイオ燃料事業の赤字などが響いた格好だ。当面は政府の補助金が見込めるにしても、30年代以降の早期には事業採算を確保する必要がある。アクションプランでどこまで普及の道のりを具体的に示せるかが重要になりそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞1月17日掲載