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2025年1月14日

2024年の中古車輸出台数 UAEが4年ぶり首位濃厚

仕向け地別の中古車の輸出台数で、2024年はアラブ首長国連邦(UAE)が4年ぶりに首位に立つ可能性が高まっている。同年1~11月の累計輸出台数では、23年まで首位のロシアが約1万7千台差で追っている。9月時点で約5千台まで迫っていたが、この2カ月で再び差が広がった。ルーブル安の影響を受け、ロシア向けの出荷が鈍ったもようだ。対するUAEは10月以降、海上輸送の環境が改善したことを追い風に輸出台数を拡大している。直近では単月で、ロシアがUAEに1万台以上の差をつけたことはなく、12月での逆転は極めて難しくなってきた。

 日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA、佐藤博理事長)がまとめた仕向け地別の中古車輸出台数(車両価格20万円以上)によると、24年1~11月はUAEが前年同期比13.4%増の20万4997台。ロシアは同8.6%減の18万7293台だった。 3年連続でトップだったロシアへの出荷が伸び悩んでいるのは、日本政府による輸出規制の厳格化だ。ロシアのウクライナ侵攻への経済制裁として、段階的に輸出品目に制限をかけた。 特に、23年夏以降は、それまでの「高級乗用車」から「排気量1900cc超の自動車」に拡大された。これにより、多くの車両がロシアに出荷できなくなり、輸出台数に急ブレーキがかかった。ただ、ロシアでは、日本の中古車人気が根強い。規制対象以外の車両を求めるユーザーも多く、次第に復調。実際、24年4月からの4カ月間は、UAEの実績を上回った。

 一方、UAEはロシアの落ち込みを追い風に、24年1~3月はロシアを2万台超もリードしていた。ただ、ここに海上輸送の環境悪化が重なる。米国が中国への関税強化の方針を示したことで、駆け込みでの貿易需要が発生。中古車輸出にも使うコンテナ船が抑えられ、コンテナ自体の買い占めも起こった。UAEへの中古車輸出はコンテナが多いとされており、春から夏にかけてはUAEが不利な情勢だった。 しかし、明暗は再び逆転した。ロシアは夏以降、ルーブル安が加速。7月時点は1㍔=1.7~1.8円台だったが、11月には1.3円台に振れた。これまで通りの採算が見込めなくなったことで、輸出が鈍ったとみられる。ある業界関係者は「11月は特に為替の変動が大きく、様子見する輸出事業者が少なくなかった」と明かす。反対にUAEはコンテナ不足の問題が9月以降、緩和に向かったことで、本来のポテンシャルを取り戻した。 ただ、ロシアでの日本車の潜在需要は、いまだ高水準だ。輸出規制が強化されて以降も、第三国を経由して規制対象車を輸入する動きも出ている。今後も日本の良質な中古車を求めるニーズに変わりはなさそうだ。

日刊自動車新聞1月14日掲載