2025年1月14日
EV大手のテスラとBYD 昨年のEVグローバル販売台数
電気自動車(EV)大手の米テスラと中国・比亜迪汽車(BYD)が発表した2024年のEVグローバル販売台数で、テスラは13年ぶりに減少に転じた。その一方、BYDは1割強拡販し、前年には20万台超あったテスラとの差を1万台強まで縮め、EV事業を世界最大手と拮抗するレベルへと拡大した(図1)。ただBYDは、プラグインハイブリッド車(PHV)の好調で全体の増加率が4割を超えたのに対し、EVについては伸び率が鈍化しており、同社にも世界的な〝EV離れ〟の影響が現われている。
テスラ「モデルY」
テスラは23年には年販が180万台を超え過去最高を記録したが、24年はその勢いを持続できなかった。マイナスは、年販が1500台未満だった11年に前年を200台ほど下回って以来という。
同社の24年1~9月の販売台数は前年同期比2.3%減で、通年の前年超えが危ぶまれる状況だった。このため10~12月期には挽回に向けてゼロ金利ローンや無料充電などの優遇策を展開。その効果で期中の台数をプラスに押し上げたが、通年では前年割れが避けられなかった。
EVは各国で購入インセンティブが見直されるとともに、欧州では昨秋から欧米メーカーの中国製EVにも割り増し関税が課されるなど、市場に逆風が吹いている。〝EV一本足〟のテスラには一段と厳しい環境ではあるが、同社は早ければ25年中にも新型プラットフォームを採用した低価格車の投入を計画しており、巻き返しが注目される。
BYD「アット3」
BYDは24年、EV販売を20年比で12倍強に急拡大した。中国国内でのニーズを背景に順当に事業を拡大してきた。そしてPHVや商用車を含む24年の総販売台数がついに400万台を突破、日産自動車を超えホンダと肩を並べる規模になった。 その成長の中身を見ると、このところはPHVが大きく貢献。24年には2年ぶりにEVの台数を上回り、70万台ほど差をつけた(図2)。増加率は前年比73.3%となり、1割強の伸びにとどまったEVとは対照的に勢いがみられる。電動車を複数ラインアップする強みを生かしてEVの逆風をかわし、高い成長率を持続した格好だ。
同社の輸出は2023年が約24万台で、24年はその数倍になる見通しだが、依然として販売の大半は中国となっている。こうした中、24年夏に同社初の海外生産拠点をタイに開設した。2025年中には、ハンガリー工場の立ち上げが見込まれる。さらにブラジルや中央アジアへの進出も計画しており、着々と生産の現地化を進めている。 破竹の勢いで生産・販売台数を拡大しながら、グローバル展開の本格化を目指しているBYDである。しかし、こうした急成長に見合う品質管理体制の構築が課題といえ、その成否が今後の競争力を占う。
対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞1月14日掲載