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自動車産業インフォメーション

2024年12月16日

上場サプライヤーの2024年度通期決算、部工会まとめ

減収減益予想が増加 認証不正など不安要素ずらり

日本自動車部品工業会(部工会、茅本隆司会長)がまとめた「自動車部品工業の経営動向(2024年4~9月期)」によると、集計対象企業の3割以上が2024年度通期業績で減収減益を見込んでいることが分かった。7月に公表した前回調査より1割弱増えた。上期は一部完成車メーカーの認証不正による出荷停止などが響いたほか、中国での日本車の販売不振や原材料などのコスト高の影響は下期以降も継続するとみている。25年1月には米国でトランプ新政権が発足する。新政権の政策次第では、日本の部品メーカーの経営にも影響が及びそうだ。

部工会の会員企業のうち、自動車部品の売上高比率が50%以上の上場企業61社を対象に調査した。

24年4~9月期業績では、67.2%(41社)の企業が増収となった。部工会によると「円安による為替影響」などが追い風になったとみられる。ただ同期は、型式認証不正による出荷停止や、中国での販売不振で生産計画が見込みを下回る自動車メーカーが多く、利益確保に苦戦する部品メーカーが多かったようだ。61社のうち28社(45.9%)が減益となり、16社(26.2%)が減収減益を強いられた。

また、24年度の通期業績見通しに関しても、7月公表の調査時から下方修正する企業が増えた。前回調査では、「増収増益」を予想していた企業が全体の4割以上を占めていたが、今回の調査では約3割に減少した。反対に通期見通しを「減収減益」とした企業は前回調査より8.2㌽増の34.4%(21社)に上った。

下方修正した企業の大半は「自動車の製造・販売台数の減少」を理由に挙げた。24年4~9月期決算でトヨタ自動車は、通期の連結販売台数を期初見込みから10万台減らしたほか、日産自動車も24年度の世界生産・販売計画を、前回公表時よりそれぞれ25万台引き下げた。特に深刻なのは中国市場で、トヨタ、ホンダ、日産3社の中国新車販売台数は、11月の時点で、10カ月連続で前年同月を下回った。1~11月累計の3社合計の販売台数も前年同月に対し15.4%減となっており、回復の見込みも立っていない状況だ。

また、原材料やエネルギー、人件費などのコスト高もじりじりと部品各社の利益を圧迫する。加えて来年1月には、米国でトランプ新政権が発足する見通しで、トランプ氏が選挙期間中に打ち出していた関税政策などを実行した場合、部品メーカーは北米事業の見直しを迫られる可能性がある。生産・供給体制の変更が必要になれば、各社の業績を圧迫することは避けられない。部品各社を取り巻く市場環境は、来年度以降も厳しくなりそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞12月16日掲載