2024年12月12日
北九州市 車載用蓄電池リサイクル実証、産官連携でスタート
北九州市は、トヨタ自動車九州(長木哲朗社長、宮若市)など企業3社と連携して取り組むリチウムイオン電池リサイクルの事業化可能性(FS)実証を本格始動する。これまで実施してきたFS実証で得た基礎データを基に、より安全性の高いリサイクル手法の確立を目指す。同市では、行政と地域企業の連携による車載用蓄電池のリサイクル実証は国内で初めてとしている。
同市は、2022年4月にトヨタ自動車九州とカーボンニュートラルに関する連携協定を結んだ。車載用蓄電池の3R(リビルド・リユース・リサイクル)実現を目的に、人材交流を含めた勉強会の実施や、エコタウンに展開する地域企業と連携した取り組みを進めてきた。
こうした中、24年2月からはリチウムイオン電池リサイクルに関するFS実証に着手した。開始にあたっては「リチウムイオン電池の再資源化モデルをつくるのに欠かせない」との判断で、西日本オートリサイクル(植田英男社長、北九州市若松区)と日本磁力選鉱(原田信社長、北九州市小倉北区)が参画した体制を構築した。
実証では、蓄電池の分解・無害化処理にかかる作業コストの把握に注力した。そのほかにも、ニッケルやコバルトなどのレアメタルを含む粉体であるブラックマス(BM)や鉄・銅といった有価金属の回収効率の確認等を行って、リサイクル事業を継続的に進めるために必要な基礎データを得られたという。
これらの成果を踏まえて、今後はBMを蓄電池材料に戻すための技術検証など次のステップに移行することにした。同市では「北九州エコタウンを中心とした北部九州エリアで、車載用蓄電池のリサイクル拠点化を目指す」としている。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞12月5日掲載