2024年12月05日
日産「eパワー乗りステーション」実証 予約・料金不要、自由に目的地まで
日産自動車は、都市部に配備したシリーズハイブリッド車(HV)「ノート・eパワー」に、予約不要・利用無料で運転できる「eパワー乗りステーション」を、東京都内の2カ所に期間限定で開設した。
都市部は公共交通インフラが整備されているものの、駅からの移動手段が困難な場所もある。このような「クルマでの移動が求められる場所」にステーションを設置。日産のシリーズHVの走行性能を多くの人に体感してもらうのが目的だ。新車販売促進に向けた試乗機会の提供方法を模索する一環で、12月には大阪エリアにも期間限定での設置を予定する。
eパワー乗りステーションは「いつもの街乗りも、楽しい時間に」をコンセプトに期間限定で設置した。ステーションを中心に半径3.3㌔㍍以内なら自由に目的の場所まで運転できる。予約不要で、利用料も無料。助手席に担当者が乗車するため、目的地での乗り捨てが可能だ。
第1弾として渋谷駅近隣と代々木上原駅近隣の2カ所に11月1日から6日まで設置した。より多くの人に気軽にノートeパワーの加速性能など、モーター走行を体感してもらうのが狙いだ。シリーズ方式のHVであるeパワーは、内燃機関は発電機として使用するため、100%モーターで駆動する。日産の村田直哉チーフマーケティングマネージャーは「ノートeパワーは乗ればすぐに魅力が伝わるので、気軽にノートeパワーの走りを体験してもらえる機会の創出を目指した」という。
試乗できる3.3㌔㍍は、時速40㌔㍍で5分間走行した場合に相当する距離に当たるという。村田氏は「短時間でもノートeパワーのモーター走行による加速性能などを体感してもらえる」と自信を示す。eパワー乗りステーションオープン前に代々木上原ステーション実施したイベントには、ノートeパワーの「チーフ・eパワー・オブザーバー」(CeO)に就任した女優の有村架純さんが「乗ればすぐに魅力が伝わるクルマ」と、ノートeパワーの走行性能をアピールした。
ノートeパワーの現行モデルは昨年12月にマイナーチェンジした。日産ではシリーズHVの走行性能などにライバル車と比べて自信を持っているものの、ディーラーの拠点に出向いて試乗してもらうにはハードルが高い。クルマでの移動が便利な「ちょい乗り」の短距離移動ニーズに、応えるのに合わせてeパワーの体験機会を提供した。
新車販売の促進に向けて、ユーザーへの試乗機会の提供が重視されているが、多くのユーザーに試乗してもらうのは難しいのが実情だ。DeNA SOMPOモビリティは、カーシェアリングサービス「エニカ」のサービスを今年12月末で終了する。
エニカでは、個人間カーシェア以外にも、新車購入を検討しているユーザーなどを対象に、ディーラーが保有する試乗車を有料で一定期間貸し出す「ディーラーカーシェア」を展開している。しかし、個人間カーシェアとともに、利用者が「サービス開始当初から描いていた規模に遠く及ばない」状況から撤退を決めた。
自動車メーカーやディーラーは、走行性能に自信のあるモデルに試乗してもらい、購買意欲を刺激する販売促進活動に重点を置くものの、ディーラーでの試乗は依然として敷居が高く、試乗機会をどう構築するかは各社共通の課題となっている。日産はeパワー乗りステーションを12月に設置する大阪エリアのほか、他の都市部でも展開し、効果を検証する。気軽に新車に試乗する機会を提供するための取り組みが続く。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞12月5日掲載