2024年11月28日
中古車事業者がリース商品強化 「リースバック」も
中古車事業者で、リース商品を強化する動きが目立っている。中古車リースの取り扱い範囲を広げるところや、顧客が使っている車両を買い取った上でリースする「リースバック」に力を入れる事業者も出ている。中古車リースは新車に比べて費用を抑えられるほか、法人などでは柔軟な資金繰りにつながる点が支持されているとみられる。日本自動車リース協会連合会(JALA、髙島俊史会長)の統計でも「リースバック・中古車リース」の契約台数が、2023年度まで3年連続で増加しており、市場拡大を裏付ける。足元の〝タマ不足〟が緩和すれば、今後も成長が期待できそうだ。
メンテナンスリースを手掛けるDRD4(瀨川慶一代表、東京都渋谷区)は24年11月、走行距離に応じて毎月のリース料が決まる自社商品に中古輸入車を追加した。使い方によって一般的なリースよりもランニングコストを抑えられるメリットを生かし、1ランク上の車に乗りたいユーザーの獲得を目指す。
リースバックの新商品発売も活発だ。例えば、中古トラックを取り扱うタカネットサービス(西口高生社長、横浜市西区)は顧客のトラックを重整備した上で、リースバックするサービスを1月に開始した。顧客にとっては使い慣れた車両を利用し続けられるだけではなく、適切な整備を施すことで長く低価格で使い続けられるメリットがある。また、リースに切り替えることで車両管理の負担も軽減できるほか、節税効果も期待でき、注目を集めている。3月には、中古トラックの販売・買い取りの「トラック王国」を運営するトラックオーコク(旧ネントリーズ、津島一夫代表、東京都渋谷区)も、リースバック商品の提供を始めた。
各社が中古車リースやリースバックに注目する背景には、ここ数年続いている新車供給の不安定さが一因にある。コロナ禍で顕在化した半導体などの部品不足に加え、最近では一部メーカーの認証不正問題で商用車の新車出荷にも大きな影響が出た。ただ、商用車を使う法人は車両がなければ仕事が成り立たたないところも多く、商品を確保しやすい中古車に目を向けるところが増えたとみられる。また、物価高騰などのあおりで、資金需要に柔軟性を持たせたい法人ニーズもあり、リースバックに目を向ける事業者が増えたとみられる。
JALAの統計でも、20年度はリースバック・中古車リースの契約台数が前年比0.5%減の7万2683台だったものの、21年度以降、年々上昇。23年度には同7.5%増の9万515台に膨らんだ
一方、24年度上期(4~9月)は前年同期比3.9%減の3万8766台となった。新車が不足する傾向が長引く中で、中古車の小売りや輸出の需要は根強く車両の取り合いが激化している。こうした流れが同期の中古車リースの動きに水を差した可能性がある。今後、中古車の流通台数が回復していけば、リースにもプラスの効果が波及していくのは間違いない。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞11月15日掲載