2024年11月20日
トヨタ、世界初の水素HV公開 来春からオーストラリアで公道実証
トヨタ自動車は、水素エンジンにモーターを組み合わせた世界初のハイブリッド車(HV)をこのほど公開した。燃費性能を高め、HV化前に比べ航続距離を25%延ばし、加速性能も向上させた。2025年春にオーストラリアの公道で実証走行をスタートさせ、実用化を目指す。
水素エンジン車で参戦する「スーパー耐久シリーズ」の最終戦が開かれた富士スピードウェイ(静岡県小山市)で、試作車を報道公開した。トヨタは、23年10月からオーストラリアで水素エンジンを搭載した商用バン「ハイエース」(同国仕様)の公道実証を行っており、今回、この車両をHV化した。
「クラウンセダン」に用いる後輪駆動(FR)用のハイブリッド機構を組み合わせた。タンクに水素を満充填した際の航続距離は約250㌔㍍と、従来より50㌔㍍延ばした。モーターの最高出力は132㌔㍗(約180馬力)で、発進や合流時の加速性能を大幅に向上させた。
これまでの実証では、水素エンジン車の信頼性や耐久性などが確認できたという。中嶋裕樹副社長は「利用者からは振動や騒音がなく、非常にアクセプタブル(容認できる)と評価されている」と手ごたえを語った。一方で水素エンジン車は航続距離の短さが課題だ。ハイエースの場合、駆動用電池を助手席の位置に組み込んでいるため定員が減り、パッケージングにも課題が残るという。同社は、HV化による燃費向上に加え、水素タンク形状を工夫して容量を増やすなどし、実用化を目指していく考えだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞11月19日掲載