2024年10月29日
EVモーターズ・ジャパン 全長6㍍以下コンパクト新型バス開発
電気バス(EVバス)などを手掛けるEVモーターズ・ジャパン(EMJ、佐藤裕之社長、北九州市若松区)が、全長を6㍍以下に抑えた新型車を開発した。2025年春にも発売する計画だ。トルコのカルサンや中国・アルファバスも同等のクラスのEVバスを国内で販売しているが、「国内メーカーとしては初めての投入」(EMJ)としている。新型車は国内で一般的にマイクロバスとして使われている同7㍍以下の仕様もそろえた。コンパクトなバスにおいても、さまざまな選択肢を用意することで、多様化する移動のニーズに適応してEVバス市場でのシェア拡大につなげる。
新型「F8シリーズ1マイクロバス」は全長5990㍉㍍で定員11人乗りと、全長6990㍉㍍の24人乗りをラインアップした。EMJでは定員が50人を超える大型車や30人以上の中型車のEVバスを取り扱っている。定員が29人の小型EVバスもあるが、さらに新型車でこのカテゴリーの品ぞろえを拡充する。
この背景には、導入先の意識の変化がある。このクラスのバスは地域の公共交通を支える自治体のコミュニティーバスや、企業が従業員の送迎車などで使うことが多い。ただ、環境対策は企業の社会的責任(CSR)の観点からも重要になっており、使用段階で温室効果ガスを排出しないEVバスの導入を検討する動きが加速している。
しかも、EMJでは「人口減少や過疎化が進んでいることで、一度に乗せる人数が減る傾向にある」と分析。バス事業者からも「幹線からの先は、定員29人以下の車両で十分」といった声が上がっているという。これらを勘案し、よりコンパクトなカテゴリーで商品力を高める必要があると判断した。
駆動用電池の容量は118㌔㍗時で、11人乗りは最長260㌔㍍、24人乗りは250㌔㍍(いずれも参考値)の航続距離を確保した。コミュニティーバスや送迎車としての使用にも耐えられるスペックだとみられる。ただ、拡販に向けた課題は、車両価格だ。EMJでは新型車の価格が、3千万円程度とみている。一般的なディーゼルエンジン車は700万~800万円程度といい、その差は大きい。補助金がなければ導入事業者が限られそうだが、詳細はまだ決まっていないという。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞10月26日掲載