2024年10月23日
メーカー系整備専門学校 オープンキャンパスで情報発信強化
整備士不足が深刻化する中、自動車メーカー系の整備学校では、新入生の確保に向けオープンキャンパスで高校生らへの情報発信を強化している。整備の体験を通じて仕事の面白さを伝えるだけではなく、メーカーと同等の試験設備などにも触れる機会を設けるなどし、メーカーやサプライヤーにも進める点をアピールするところも目立っている。メーカー系列の強みを生かし、そのメーカー〝らしさ〟を訴えるところもある。オープンキャンパスで、多様な就職先や可能性を指し示すことにより、入学者の拡大につなげる狙いだ。
自動車の設計や開発に興味を持つエンジニア志向の高校生へのアプローチに力を入れる一校が、ホンダテクニカルカレッジ関東(勝田啓輔校長、埼玉県ふじみ野市)だ。今夏に開いた「夏の体験入学」では、開発系の体験授業を用意。メーカーでも実際に使っている機器を用いながら、ものづくりの一端に触れる機会を提供した。同校では〝エンジニアの卵〟の育成も強化しており、昨夏もこうした取り組みを行っている。トヨタ東京自動車大学校(永田透校長、東京都八王子市)では同様の狙いもあり、CAD(コンピューター利用設計)の操作体験を行える場を設けていた。
メーカーの特徴を生かすところも多い。例えば、ホンダテクニカルカレッジ関東では参加者が選べるプランの中に「バイクコース」を設け、整備体験を行った。整備学校を持つメーカーの中で、二輪車を取り扱うのはホンダのみ。こうした〝ホンダらしさ〟を打ち出すことで、二輪車好きの高校生を取り込みたい考え。同校を運営するホンダ学園の中嶋歩常務理事は「卒業後にヤマハ発動機や川崎重工業に入社しても、まったく構わない」としており、国内における二輪車産業の持続的な成長に貢献していく狙いもある。
日産横浜自動車大学校(井出泰男校長、横浜市旭区)も、日産車のイメージリーダーでもあるスポーツカーの「GT-R」や「フェアレディZ」を用いた体験機会を設けるなどし、クルマ好きの高校生を刺激していた。
今夏も多くの高校生でにぎわったオープンキャンパスだが、参加したものの受験はしないという生徒も珍しくはない。あるメーカー系整備学校の校長は「参加者のうち、実際に受験してくれるのは5割程度」と明かす。少しでもこの割合を高めるため、各校は高校生にさまざまな道を提示する取り組みを進めている。大学への進学を選ぶ高校生が増えるなど、高いブランド力があるメーカー系整備学校といえども、新入生集めは容易ではなくなってきている。各校は今後も工夫を凝らし、高校生を呼び込む努力を続けていく考えだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 中高生,大学・専門学校,自動車業界 |
日刊自動車新聞10月19日掲載