2024年10月01日
中古車販売「支払総額」表示義務から1年 対応事業者9割超
中古車の車両価格に諸費用を加えた「支払総額」の表示の義務付けから、1年が経過した。自動車公正取引協議会(自動車公取協、鈴木俊宏会長)によると、このルールにのっとって対応している中古車事業者は9割を超えており、「取り組み状況としては高い水準にある」と評価している。ただ、ある業界関係者からは「形を変えて不適切な行為を続けている事業者がいる」との声も出ている。中古車業界に対するユーザーの信頼を高めていくためにも、2年目以降も総額表示の順守に向けた活動が重要になりそうだ。
自動車公取協は2023年10月1日付で自動車公正競争規約と同施行規則を一部改正した。中古車の小売り事業者は従来、車両価格のみでの表示が可能だったが、改正後は諸費用を含めた総額表示が必要になった。ただ、自動車公取協は中古車事業者に対して積極的に情報発信などを行うなどしてきたため、円滑に新制度に移行した事業者が多かったようだ。
自動車公取協が24年3月末までに行った調査でも、店頭展示車にプライスボードを掲示していた中古車事業者(新車ディーラーと専業店の合計、2231社)のうち、支払総額の表示があった事業者は95.8%(2138社)と高かった。100%には届かなかったものの、自動車公取協では「これにかかわらず、規約の順守状況は9割が限界に近い水準」とし、現状のレベルについて及第点とみている。
新聞やチラシ広告での規約の順守率も高かった。自動車公取協が575枚の広告媒体を調べたところ、こちらも実施率が9割を超えた。「保証の有無」や「定期点検整備実施の有無」の表示が漏れていた事例もあったというが、おおむね守られていた。
ただ、不適切な販売行為を続けている中古車事業者もいるようだ。実際、自動車公取協には今も「諸費用として不適切な費用を請求された」といった消費者からの苦情が届いているという。中古車業界の業界の健全化の妨げとなっている懸念もあるため、不適切な販売行為に関する調査を進めていく考え。その上で悪質な行為を確認した場合は、「実名の公表や違約金を科すことも必要」と、制裁措置も辞さない強い姿勢で、規約通りの価格表示の徹底を呼び掛けていく方針だ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞10月1日掲載