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自動車産業インフォメーション

2024年9月27日

自動車メーカー各社 人事制度、抜本的に見直す動き

自動車メーカーで人事制度を抜本的に見直す動きが出ている。ヤマハ発動機は、2025年1月から年功序列を廃止する。トヨタ自動車やいすゞ自動車は4月から能力に応じた評価などの仕組みを導入済みだ。スズキは能力と業績を分けて評価する仕組みを採り入れた。各社は処遇や評価手法を見直し、従業員が成長や働きがいを実感できる環境を整えて今後のグローバル競争に臨む。

ヤマハ発動機は、コーポレート部門や企画、技術部門などの総合職や、一般職などの業務職、技能などの製造職を統合し、年功序列を廃止し、〝飛び級〟の仕組みも導入する。従来、管理職に就けるのは最速でも30代、平均では42歳前後だったが、新制度では20代でも管理職に就くことができる。人事総務本部の牧野敬一朗人事戦略部長は「社員が安心してチャレンジできるようにするには、報酬の納得感とフェア感が重要だ」とし、成果を処遇に反映することで従業員のチャレンジ精神やモチベーションの向上につなげる狙いを説明した。

年功序列の廃止では、いすゞが4月からの新人事制度で管理職を対象に導入した。トヨタも年次や学歴などを評価の要素から除外している。

スズキは「個の成長」に重点を置き、4月に人事制度を刷新した。従来は業績と能力を一体的に評価していたため、数値化しやすい業績に評価に偏りがちだった。能力評価項目も被評価者に知らされず、評価者からのフィードバックもない。このため、被評価者は自身に何が足りないのか、わからない状況だった。新たな人事評価では、全従業員に能力評価の項目を公開。業績評価は賞与、能力評価は昇給に反映させる。

各社が人的資本に投資するのは、電動化や知能化など、自動車業界を取り巻く環境の変化に対応するためだ。年功色の濃い制度では有能な人材も中途採用しにくい。スズキで人事を担当する加藤祐輔常務役員は「当社が掲げる2030年の成長戦略、さらに30年以降の持続成長を維持するには、個々人の職務遂行力といった〝稼ぐ力〟を高める必要がある」と語った。

長期的な競争力を維持するためには、人的資本への投資が欠かせない。自動車メーカー各社は、これまで培ってきた技術力に従業員一人ひとりの能力を最大化して掛け合わせ、国際競争力を高めていく考えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞9月27日掲載