2024年9月10日
国交省 「交通空白」解消へ官民連携組織、年内に立ち上げ
人手不足や採算割れなどによる公共交通網の衰退で地域住民や観光客の移動に不便が生じている「交通空白」の解消に向け、国土交通省は、官民連携プラットフォームを年内に立ち上げる。国や自治体と交通事業者、自動車関連など民間企業・団体が参画する体制を整え、地域公共交通の課題を抱える自治体と交通事業者らの取り組みや連携を支援する。持続性のある地域公共交通網への再構築や地域活性化にもつなげていきたい考えだ。
新組織の名称は「交通空白解消・官民連携プラットフォーム」(仮称)。7月に設立した「交通空白解消本部」(本部長=斉藤鉄夫国交相)のもとに、年内のできるだけ早い時期に設置する。
4日に開かれた交通空白解消本部で、斉藤国交相は「さまざまな技術やサービスを持つ民間企業などを巻き込み、分野や業種の垣根を越えて一体となった取り組みが重要だ」と語った。
新組織の体制は、国交省と関係省庁、交通空白を抱える自治体と交通事業者、地域公共交通の課題解決に向けたサービスや技術を提供できる民間企業、関連業界団体で構成することを想定する。参画を呼び掛ける民間企業については、配車・運行管理サービス、人材派遣、カーシェアリング、レンタカー、エネルギー、不動産、金融・保険などの事業者を見込む。
新組織では「官民の総力を挙げて交通空白解消に向けた実効性かつ持続可能性ある取り組みを推進していく」(国交省)。3つの主な取り組みとして▽課題を解決したい自治体や交通事業者と、技術・ノウハウのソリューションを持つ企業とのマッチング支援▽先導的・連鎖的な取り組みを「パイロットプロジェクト」(仮称)として推進▽交通空白解消に向けた官民の意見交換・セミナーの開催―を想定する。
デジタル技術を活用した支援策では、地域のタクシー会社が連携して一元的な配車システム・アプリを導入し、地域全体でタクシー供給を最適化する仕組みがある。これは香川県高松市で先行導入されている事例だ。ほかにも、自家用有償旅客運送(公共ライドシェア)の車両に通信型ドライブレコーダーを搭載して遠隔による運行管理業務を受託するサービスを日野自動車が自治体などに向けて7月から始めている。新組織では、こうした技術やサービスなどの情報提供・共有や官民・企業間のマッチングを後押ししていく考えだ。
地域公共交通の問題は地域によってさまざまで、課題解決に向けたアプローチも異なる。このため「日本版ライドシェア」と公共ライドシェアの普及に取り組むほか、乗合型のオンデマンド交通なども含め、多様な〝選択肢〟で交通空白の解消を目指す。
カテゴリー | 会議・審議会・委員会 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞9月10日掲載