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2024年8月29日

45年の自動運転、「レベル3」以上が世界で5千万台 富士キメラ総研予測

富士キメラ総研(田中一志社長、東京都中央区)の予測によると、2045年に自動運転「レベル3(条件付き自動運転)」以上の車両の生産がグローバルで5千万台を超える見込みだ。24年は30万台にとどまる見込みだが、35年以降に普及が本格化するとみる。ロボットタクシーで先行する中国を筆頭に、各国・地域で導入台数が増えると同社は見立てた。

24年は「レベル2(高度な運転支援)」の車両が4513万台、レベル3が30万台となる見通し。レベル3は大部分を中国が占める。中国では、レベル3以上の車両が30年には264万台、45年には2294万台にまで増える見通し。ロボタクシー大手の百度(バイドゥ)は、5月に第6世代のロボタクシーを発表し、24年内に武漢で1千台を走行させる計画を掲げる。中国工業情報省は6月、比亜迪(BYD)や上海蔚来汽車(NIO)、長安汽車、広州汽車など9社に対し、一定条件下でレベル3のシステムを搭載した車両の公道試験を承認した。開発の加速が見込まれる。

日本の自動運転レベル3以上の生産台数は現時点ではごくわずかだが、2030年には19万台、45年には423万台にまで増える。ホンダは21年3月にレベル3の「レジェンド」を世界で初めて発売した。米ゼネラル・モーターズ(GM)と組んで26年から自動運転サービスを東京で始める計画だったが、GM製専用車の開発凍結を踏まえ、事業計画を見直し中だ。

日産自動車も27~28年度をめどに有償自動運転サービスの提供を目指す。25~26年度に「セレナ」をベースとした車両で横浜市内にある本社の近隣で実証をする。車両だけでなく事業モデルも同時につくり、新たな収益源に育てる。

もっとも、自動運転車の生産が増えるかどうかは、各国・地域の規制や法整備の動向もカギを握る。自動運転車は関連するソフトやシステムの需要も喚起する。強力な演算能力を持つドメインコントローラーやビークルコンピューター、LiDAR(ライダー、レーザースキャナー)の需要も拡大する見通し。ドメインコントローラーとビークルコンピューターの市場規模は、45年に24年見込み比16.1倍の2兆円以上、ライダーは45年に同76.3倍の3兆円以上に成長する見込みだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞8月26日掲載