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2024年8月21日

サプライヤー各社 外国人学生採用で若手人材確保、自治体も積極支援

サプライヤー各社が、外国人学生の採用に力を入れている。武蔵精密工業は「人数枠を設けて、特化した活動をする」と外国人学生の採用に本腰を入れる。曙ブレーキ工業もベトナム人の学生採用を拡大する。少子高齢化による日本人学生の減少で若手人材の確保が難しくなる中、各社は外国人学生の採用で若手人材を確保する。

武蔵精密工業は、来年から新たな取り組みとして自社海外拠点のネットワークを活用した採用活動を実施する。具体的には、海外拠点と現地の大学とのつながりを生かして学生を募集。選考や日本でのインターンシップなどを経て採用する。これまで人材紹介会社を経由して現地の外国人学生を採用したり、日本に留学している学生を採用してきたが、新たな方法を取り入れて採用を強化する。同社は26年卒をターゲットにした新卒採用計画で3分の1以上を外国人枠として設定するという。

曙ブレーキ工業は、年内から人材紹介会社を通じて、ベトナムの工業高校や高等専門学校、工業大学の学生を対象とした採用活動を始める。また、事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)申請前にハノイ工科大学の学生を対象に実施していた採用活動も再開する予定だ。

日刊自動車新聞が主要部品メーカー93社を対象に今年4月に実施したアンケート調査でも大同特殊鋼やユニバンス、トピー工業は、日本人の学生で採用計画が未達の場合、外国人採用を進めていると回答した。

企業が外国人学生の採用を活発化させる中、自治体も支援に動き出している。例えば静岡県浜松市は6月に「外国人留学生JOBマッチングフェア」を開催した。浜松市で就職したい留学生と企業をマッチングするイベントで、ソミック石川(斉藤要社長)や自動車・二輪車向けに金属部品を製造する第一工業(鈴木崇嗣社長、浜松市中央区)、駆動系部品メーカーの浜名部品工業(杉浦雄輔社長、静岡県湖西市)など、サプライヤーも多数参加して留学生に自社をアピールした。宮城県や九州の7県、京都市なども留学生と企業のマッチングに向けた取り組みを実施している。

外国人採用について日本貿易振興機構は「人材不足の補填のほかに、海外市場の開拓やイノベーションの推進力となる役割も期待されている」という。語学やコミュニケーションのハードルが高いこと、異文化や宗教、慣習などへの配慮といった取り組みは不可欠だが、日本企業の外国人学生に対する期待は一層高まりそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 大学・専門学校,自動車業界

日刊自動車新聞8月16日掲載