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2024年7月31日

政府「自動物流道路」27年度までに社会実験 新東名高速の未開通区間で

政府は「自動物流道路」の社会実験を2027年度までに行うことを決めた。新東名高速道路の未開通区間で実施する。その後は東京~大阪間における長距離幹線輸送の実現に向け、今後10年をめどに先行ルートを選び、社会実装を目指していく。ただ、高額な建設費のほか、事業主体のあり方や事故時の責任分担などの課題も残る。

岸田文雄首相も出席した「わが国の物流の革新に関する関係閣僚会議」で決めた。国土交通省は、この会議に合わせて「自動物流道路のあり方」の中間まとめも公表した。

自動物流道路は、高速道路の中央部や路肩、地下などに専用空間を設け、自動輸送カートなどを走らせる構想だ。自動運転トラックと連携するほか、鉄道、海上、航空などの輸送モードとも連結させ、荷物の積み替えもロボットなどで行う。小口・多頻度輸送と物流需要の平準化を実現する新しい物流形態として、ドライバー不足への対応や物流の効率化、脱炭素化などの効果を狙う。

新東名で建設中の新秦野~新御殿場間の一部区間で、路肩などで自走可能な輸送カートを走らせ、道路や搬送する荷物に与える影響などをまずは検証する。詳細は今後詰めるが、建設中の区間が開通する27年度末まで実証する計画だ。この他の区間でも、小規模な改良で済む場合は実証の候補にする。

実証後は、物流量が多い東京~大阪間を念頭に検討を進める。第一期区間として、10年後をめどに東京~大阪間の一部区間で社会実装を目指す。具体的には、大都市近郊で渋滞が頻発する区間を想定している。合わせて、自動走行システムや走行中給電などの新技術を活用する「実験線」を設ける。

ただ、整備財源をはじめ、需要を含めた事業性、事業形態や事故を起こした際の責任分担のあり方など課題は多岐にわたる。ハードとソフトの両面で検討を進めていく必要があるが、先行きは不透明だ。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞7月29日掲載