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2018年1月29日

国交省、自動運転車事故責任 「システム起因」立証容易に EDR搭載など指針

自動運転車の損害賠償責任のあり方を議論する国土交通省の有識者会議は27日までに報告書案をまとめた。

自動車損害賠償保障法(自賠法)上の責任主体を引き続き「運行供用者」としつつ、システム欠陥などを立証しやすくするため、車両にEDR(イベントデータレコーダ)を積んだり、事故の調査体制をつくるなどして保険会社が自動車メーカーに求償権を行使しやすい環境を整える。また、サイバー攻撃などによる事故は盗難車と同様、政府保証事業の対象として保険金を出す一方で、欠陥起因の自損事故は対象外とする。

国交省が2016年11月に立ち上げた「自動運転における損害賠償責任に関する研究会」がまとめた。自賠責保険は事故被害者を迅速に救済するため、責任主体を運転者のほか、一定条件下で企業や運送会社などの「運行供用者」と規定している。研究会は自動運転車の事故についても引き続き、運行供用者の概念を維持し、システム起因の事故については現行の求償権制度を使って対応する方針を打ち出した。
求償権制度は、保険会社が被害者に保険金を支払った後、欠陥が原因の場合は自動車メーカーに保険金相当分を求める仕組み。現在はほとんど使われていないが、国交省は「自動運転技術が普及するとシステム起因の事故が増えることが想定される」(自動車局保障制度参事官室)として、保険会社が求償権を行使しやすい仕組みを整える。具体的には(1)事故原因を究明しやすいようEDRを搭載する(2)保険会社と自動車メーカーが求償範囲や原因究明で協定を結ぶ(3)事故原因を究明する機関を作る―ことなどを例示した。具体案は、技術の進展や海外動向などを考慮して詰める。
一方、システム起因の自損事故は「製造物責任法や民法、任意保険などでの対応が適当だ」として、自賠法の保障から外す考えを示した。
また、自賠法上で免責される「自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかった」「自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかった」などの“免責3条件”について、ソフトウエアのアップデートを含めるなど、具体的なケースや法解釈を引き続き、検討することにした。

日刊自動車新聞1月29日掲載

開催日 2018年1月27日
カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

国土交通省

対象者 自動車業界
リンクサイト

国土交通省ホームページ 自動運転における損害賠償責任に関する研究会 第4回研究会(9月27日)まで掲載

http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000048.html