政府は、このほど開いたデジタル行財政改革会議(議長・岸田文雄首相)で、人口減少による各分野の対応策などを盛り込んだ「デジタル行財政改革取りまとめ2024」を決定した。交通分野では、自動運転「レベル4(特定条件下における完全自動運転)」の事業化を促すため、事業者などに対する初期投資の財政支援や、関連法令に基づく審査・手続きの短縮化などを図る。25年度に全国でレベル4を含む自動運転サービスの通年運行の計画策定や実施を目指す。
レベル4の事業化に際しては、デジタル技術の活用などで道路交通法や道路運送車両法に基づく審査・手続きの効率化・迅速化を図り、従来は約11カ月かかっていた審査期間を原則2カ月で終えることを目指す。審査内容や手続きなども明確化し、自動運転サービス事業の新規参入を促す。
具体的で分かりやすい自動運転車の保安基準とガイドラインを作成し、自動運転車による交通ルールの順守方法を明確化する。自動運転車の安全性向上に向けた検証・分析を行うための情報共有の仕組みもつくる。また、自動運転車による交通事故の責任判断と事故調査や再発防止を適切に図るための制度設計を検討する。具体的には、独立した専門調査機関をつくる案が浮上している。
今年度中に、路車間通信などを活用して自動運転車の走行を支援する「自動運転サービス支援道」を新東名高速道路の一部区間に100㌔㍍設ける。実証を通じ、設備・機器などの共通の仕様や規格などの策定と普及を目指す。
タクシー事業者が一般ドライバーと自家用車の運行管理責任を担う「自家用車活用事業(日本版ライドシェア)」と自家用有償旅客運送制度は、今後も必要に応じて台数制限の緩和や貨客混載の導入などの見直しを実施する。タクシー事業者以外の、いわゆるプラットフォーム企業などが行うライドシェア事業については、法制度を含めて議論を続ける。
物流の人手不足対策では、高速道路の地下や路側帯に自動カートなどでを走らせる「自動物流道路」の基本構想を夏頃にまとめる。東京~大阪間を念頭に想定ルートを選定し、早期に社会実験に向けた準備に着手する。10年度をめどに、先行ルートでの実現を目指す。
道路施策ではこのほか、ETC専用料金所のキャッシュレス化を順次、広げたり、混雑度合いなどに応じて料金を変動させる「ロードプライシング」を25年度から段階的に導入したりする。まずは、現在のスキームの下で最大半額となる料金体系の導入に向けて検討を始める。