会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2024年6月12日

「EVワイヤレス給電協議会」発足 自動車メーカーなど55社参加

「EVワイヤレス給電協議会」がこのほど発足した。ワイヤレス給電技術の基準づくりや標準化などに産学官で取り組み、2030年までに給電機器と対応車の発売を目指す。電気自動車(EV)の利便性を高めて普及を後押しするほか、欧米中が先行するワイヤレス給電分野の国際競争で巻き返す狙いもある。

10日に設立総会を開き、堀洋一東京理科大学教授が会長に就いた。会員は、関西電力やダイヘン、シナネン、三菱総合研究所、米ワイトリシティの幹事会員5社を含む55社。自動車メーカーではホンダとマツダ、三菱自動車が名を連ねた。経済産業省、国土交通省、環境省のほか、自動車関連団体や大学など合わせて19団体・機関もオブザーバー参加する。

主な活動として①EVワイヤレス給電の社会インフラ化の推進②実用化・普及促進の対外発信・啓発③標準化活動の推進―を掲げた。24年度の活動計画と3カ年計画もそれぞれ策定した。

乗用・商用EV向けの停車中ワイヤレス給電「SWPT」と走行中ワイヤレス給電「DWPT」の普及に取り組む。CHAdeMO(チャデモ)協議会とも連携し、既存の急速充電網との接続運用の検討を始める。

3カ年計画では、25年度からSWPTの機器・車両に求められる保守・保安基準、設置や運用に関するガイドラインや規制緩和要望づくりに取り組む。26年度をめどにSWPT機器の公的な認証枠組みを構築し、30年までにSWPT機器の普及とSWPT対応車の発売を目指す。

堀会長は「SWPTの普及は通過点で、DWPTの普及こそが本命」と語る。DWPTによって車載電池の搭載量を減らせるためだ。生産時の二酸化炭素(CO2)排出削減やEVの低価格化などに直結する。

ワイヤレス給電を社会に広めるためには、電波法や道路運送車両法など関連法令の見直しや補助金など、行政側との連携も欠かせない。同協議会は国交省などとの交渉窓口としての役割も担う。会員も増やしていく考えだ。

欧米や中国ではDWPTの社会実装に向け、巨費を投じて開発や実証を進める。ただ、どの国も量産や普及にはたどり着いていない。国際競争で巻き返す舞台装置として、同協議会の活動が期待される。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞6月12日掲載