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2024年6月10日

部品メーカー各社 自動車技術をドローンに活用、国内最大の展示会

「空撮」「点検」「測量」といった分野で活用が進むドローン(無人機)。より遠く、より長くと改良が進む。自社技術を生かそうと自動車部品メーカーも出展した、国内最大のドローン展示会「ジャパンドローン2024」(日本UAS産業振興協議会主催、幕張メッセ)で最新技術を見た。

一般的にドローンの機体や部品には、軽量で高強度な炭素繊維(CF)や、加工しやすいアルミなどが利用される。共和製作所(河口治也社長、愛知県碧南市)も炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使用してドローン部品を製作している。軽量で強度や耐腐食性にも優れるCFRPだが、担当者は「CFRPのフレームにモーターを設置すると機体が共振を起こすことがある」と話す。

このため同社は、炭素繊維の代わりに植物の亜麻の繊維を用いた天然繊維強化プラスチック(NFRP)を開発した。NFRPも軽量で高強度な上、振動減衰性に優れており、例えばCFRPと組み合わせて利用することで共振の発生を抑えられる。機体の安定性が高まったり、操縦しやすくなるほか、天然繊維なので環境にも優しい。

CFRPは加工の難易度が高く、難燃性が仇(あだ)となって廃棄後は埋め立てることが多い。こうした課題に対し、ジャパンドローンに初出展した東海理化が提案したのはマグネシウム材だ。同社は、自動車のステアリングロック機構やステアリングの芯金(しんがね)にマグネシウムを使う。

一般的にマグネシウムの比重は1.7と、CF(1.5~1.8)とほとんど変わらない。高い剛性と放熱性を持つ上、ドローンの機体や部品にマグネシウム材を使用した場合、加工やリサイクルが容易になるというメリットもある。カーボン素材の欠点をカバーしつつ、重量を変えずに耐久性を強化することができると見込む。同社の担当者は「軽量かつ頑丈なドローンの実現に向けて、今回提案した」という。

3回目の出展となるエクセディは、軽量化を実現したプロペラや電子スピードコントローラー(ESC)を紹介した。ESCは、同等性能の他社製品と比較し、30%軽量化したという。また、航空電子工業は質量110㌘以下に抑えた電波距離計「JRE―30」を展示した。独自設計により、75×79×19㍉㍍とサイズも小型だ。電波距離計は、地面のほか、水面においても正確な対地高度取得が可能で、一定の高度を維持した飛行や安全な着陸、障害物検知などにドローンの性能を高める。

今は、主に目視内飛行による業務で導入されているドローンだが、今後は規制緩和に伴い、目視外飛行による物流支援などのニーズも高まると想定される。ドローンの長距離・長時間飛行を実現する上でも機体の軽量化に寄与する技術は今後も注目を集めそうだ。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞6月8日掲載