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2024年6月10日

兵庫日産 「神戸福祉車両体感ギャラリー館」オープン

車を通じて、すべての人に豊かな生活を―。兵庫日産(酒井雄一郎社長、神戸市中央区)は、日産自動車が取り扱う福祉車両「送迎用ライフケアビークル(LV)」全8車種を取り揃えた店舗「神戸福祉車両体感ギャラリー館」(岸本浩館長、同東灘区)を5月中旬にオープンした。福祉車両は高齢者の増加などでニーズ拡大が見込まれる半面、複数の車両を実際に見ながら比較できる場所は専門店に限られがちだった。同社は〝見て〟〝触れて〟〝相談できる〟新拠点を活用してLVの特徴を広め、新規ニーズの獲得につなげる。

福祉車両は、高齢者施設などの送迎車という印象が持たれがちだ。しかし、乗降性に優れるなど「誰にでも優しい」という特徴によって「自家用での使用も増えつつある」(岸本館長)という。こうした状況もあり、同社の顧客や社内で「福祉車両が集まっている店舗があれば…」との声が上がっていた。

内閣府「令和5年版高齢社会白書」によると、高齢者と定義される65歳以上の人口は、「団塊の世代」が65歳以上になった2015年には3379万人だった。そして団塊の世代が75歳以上になる25年には1割弱増え3653万人になると見込む。その後も高齢者の人口は増加傾向が続き、2043年にピークを迎えるとした。こうした流れから、今後は福祉車両へのニーズが、一層高まることが予想される。

同社は今年、設立80周年を迎えるにあたり、より地域のニーズに寄り添う店作りに取り組み、社会貢献につなげていくことを狙い「SDGsプロジェクト」を立ち上げた。酒井社長は「高齢化社会が加速することを踏まえ、当社としての地域貢献につながるよう今回の店舗設置に至った」と、同ギャラリー館開設のきっかけを話した。

オープン当日は「待っていました!」と言わんばかりに、午前中から来店があった。開店から2週間経過した6月初頭の段階では「土日は複数組に来店いただいている。平日も安定して来店がある」(岸本館長)という。個人客に加えて、介護タクシー事業者や介護・養護施設の関係者の来場もあった。

同ギャラリー館の一番の強みは〝体感できる〟こと。個人・法人を問わず、福祉車両を検討する上で非常に重要なことである。岸本館長は「LVを求める顧客の知りたいことは、車の性能ではなく、各部の仕様やサイズだ。乗り降りのしやすさ、装置の操作性といった部分を細かく尋ねられるのがほとんど」と話す。その上で「われわれとしても、LV全車種があることで、問い合わせや急な来店でも迅速かつ自信を持って対応ができる」とし、顧客満足向上にも役立てている。

同店には岸本館長とスタッフ2人の合計3人で運営。それぞれが日産の認定資格「LVアドバイザリースタッフ」を取得した専門家で、顧客が求める最適なLVの提案や相談を行っている。LVには、消費税の非課税をはじめ、購入時や使用時にさまざまな優遇が受けられる車種があることも伝える。初めて福祉車両を購入するユーザーでも安心できるように、きめ細かく情報を発信している。岸本館長は「出かける喜びをひとりでも多くの人に届けたい」と思いを述べた。

同ギャラリー館は福祉車両を求める顧客の生の声が集まる場所でもある。酒井社長はこうした特徴を生かすため「ここに集まった顧客の声は車両の開発者に届けたい」と、地域のみならず、今後のLV開発にも貢献を目指していく。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞6月7日掲載